無印良品「地域土着化」で変容した売れ筋の中身 2021年に第2創業、客層が広がり最高益を更新

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「地域に密着」の象徴に

「お正月ならではの開封する楽しみもあり、中身の縁起物がデリケートな品のため、缶は商品の保護としてもふさわしいのです」(生活雑貨部)

開発のスタートは2010年にまでさかのぼる。

「もともと2010年冬に『缶を使用した商品をつくれないか』という話が社内で持ち上がりました。それが縁起物を入れた福缶になったのは、翌年に起きた東日本大震災がきっかけです。震災復興の東北を応援したいという想いから、青森県・岩手県・宮城県・福島県の縁起物14種類を缶に詰めて2012年のお正月に販売したのがスタートです」(同)

無印良品
2012年のお正月から販売を始めた「福缶」(写真提供:良品計画)

十数年続けて縁起物の数も14種類(2012年)から今期は38種類(2025年)に増え、累計としては300種類以上を扱った。地域にも変化が起きた。歴代の担当者は、各地の作家や工房にも足を運んで対話するという。

「福缶をきっかけにネットワークが広がり、他の作家さんや工房、地域との交流ができたという声もいただいています。全国の無印良品で不定期に開催している『つながる市』に作家さんが参加されるのもそのひとつです」(同)

同社が掲げた「地域への土着化」の象徴にもなった。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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