噂だらけ「総合型入試と探究」理想と現実のズレ 「楽に受験できる」「実績やPR重視」は本当か?

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そして、メディアでの誤用が多くてあきれるが、学習者を、中等教育(中学、高校)では「生徒」とし、高等教育(大学、短大、高専等)では「学生」とする。いま一度「生徒」と「学生」の違いを考えてもらいたい。そこには学び方、学ぶ姿勢に大きな違いがあるのだ。

AI時代だからこそ求められる学生像

時代の変化が激しい現代において、求められる能力は基礎学力、つまり自ら考える力であり幅広い教養である。特に生成AIが発達するにあたって、検証能力が問われる。

それに何を生成AIに求めるかにおいては、主体的に振る舞わないといけない。問いを立てる際は、基礎的な教養がしっかりしているかどうかによって生成AIの回答の深みや確からしさに影響が出てくる。検証能力に関しても、何をどのように検証するかを判断できるかどうかは、つねに幅広い教養があってこそである。

これからの時代に大学が担う教育は、AIに使われる人材を養成するのではなく、AIを使う人材の養成だ。

一方で、選抜性の高い大学においても、なにをどのように審査されているのかがわかりにくいのは確かだ。アドミッションポリシー(学生受け入れ方針)を読んでも抽象的でなにをどのように審査されるかを読み解くことは難儀だ。

そのような中、関西大学は総合型選抜(関西大学では「AO入試」と呼称)の受験生に向けて、総合型選抜ではどのような準備をしたらいいかを記載した冊子を作っている。アドミッションポリシーの具体化だ。学部によって審査の方法は異なるが、それぞれの学部でなにを受験生に求めているかを述べている。

関西大のアドミッション・オフィス入学試験ガイドブック
関西大学が受験生に向けて出しているアドミッション・オフィス入学試験(AO入試)のガイドブック。評価ポイントなどがわかりやすくまとめられており、どのような受験準備が必要かなどが理解しやすい内容となっている(写真:筆者撮影)

ここに書かれていることは関西大学に限ったことではない。多くの大学でも求めるような汎用的な観点であるから、ぜひ参考にしてもらいたい。

次回は、総合型選抜のあるべき姿や大学教育、そして「探究」との関係を説いていく。

総合型入試と探究をテーマにシリーズでお届けしています。
第1回:大学入試の多様化進む「一般と総合型」何が違う?
第2回:大学入試は「年内合格続々」、東洋大が広げた波紋
後藤 健夫 教育ジャーナリスト

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ごとう たけお / Takeo Gotou

1961年愛知県生まれ。南山大学卒業後、学校法人河合塾に就職。独立後は、大学コンサルタントとして、有名大学などの AO 入試の開発、入試分析・設計、情報センター設立等に関与。塾・高校の進学アドバイザーも。

その後、早稲田大学法科大学院設立に参加。元・東京工科大学広報課長・入試課長。経済産業省「未来の教室」とEdTech研究会専門委員。岡山大学『教育の実質化断行と基盤体制構築による「学びの構造化」の実現』事業外部評価委員などを歴任。

現在、執筆の傍ら、大学募集広報や高校の大学進学支援、「探究学習」のカリキュラム・教材開発、授業改善、地域の教育活動の改善等にも従事。高校や大学、地方自治体での講演、ゲストスピーカー多数。

『セオリー・オブ・ナレッジ―世界が認めた「知の理論」』(ピアソンジャパン)を企画・構成・編集。探究学習について『学習マッピング』(新曜社)等に寄稿するほか、大学入試や大学・高校教育に関する記事執筆多数。

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