中堅校と位置付けられる高校が一般選抜ではなく、総合型選抜にフォーカスして合格実績をあげようと探究に力を入れるようになった。当初はこれらの「探究に舵を切った」と言われる中堅校が探究活動のコンテストにおける主力であった。
だが2022年4月から高校では新しい学習指導要領によって「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変わった。高校での「探究学習」が浸透するにつれ、伝統的な進学校がコンテストに参加し始め、賞を目指すようになっている。
こうしたコンテストでは発表よりも審査員との「受け答え」が重視され、そこでは「基礎教養」が問われる。そのため基礎基本をしっかりと整え、そのうえで探究学習をすることが求められる。
それに「探究」は学び方である。ゆえに「総合的な探究の時間」だけで展開するものではなく、教科の授業でも「探究」は可能であるし、現に「日本史探究」「世界史探究」「古典探究」のように科目名に「探究」が入っている。
教科の授業も演習問題をたくさん解くことに終始せず、1つのテーマをじっくりと「探究」することに重点を置きたい。なにしろ、もう一般選抜で入学する受験生は半分もいないのだから。
「探究に舵を切った」学校では、果たして教科での探究は充実しているだろうか。このあたりができていないと、探究学習をともなわない「探究活動」に終始することになり、薄っぺらな活動で終わってしまう。当然、コンテストでは評価されない。
私は「全国高校生マイプロジェクトアワード」や「ベネッセSTEAMフェスタ」などで評価者を務めた経験があるが、そこから言えることは、ここでも「学力の三要素」やリフレクション、論理的思考、経験の活用が重要であり、探究学習をともなった活動であるかといった観点で評価している、ということだ。
これは大学入試における総合型選抜でも言えることだが、果たしてそうした観点を持って評価できているかは、大学の見識の問題であり、入学者確保に邁(まい)進する大学と入学後の受験生の成長を考える大学とでは評価の在り方はかなり異なるだろう。
「学ばない生徒」は「学べない学生」になる
こうした大学のスタンスの違いが総合型選抜をイメージしにくくする。実際、実質倍率(受験者数÷合格者数)が2倍を下回るような大学では、「探究が……」「基礎学力が……」「学ぶ意欲が……」なんて小難しいことを考える余裕がない。
実質倍率2倍を下回ると、不合格者よりも合格者が多くなる。実質倍率が1.1倍しかないのであれば、もはや合格者を決めるのではなく、わずかな不合格者を選ぶ作業になる。もっと言えば合否のラインを引くというより、
無料会員登録はこちら
ログインはこちら