ラーメン二郎「インスパイアに勝訴」の驚く舞台裏 30年以上、二郎を支えてきた顧問弁護士の奮闘があった
圧倒的な存在感を発揮した創業者の引退によって、飲食業界では店舗やグループが分裂・崩壊することがある。
「飲食業界に広げるまでもなく、ラーメン業界の有名な店でも、内部分裂しているところがあるので、そうならないようにしなければと考えています」
創業者の引退による内部分裂の大きな原因は「一言で言うと、金儲け」と指摘する。
長い目で見れば、儲からないフランチャイズが要になってくるのではないか。
「親父さんの思想、それを継いだ息子さんの思想を各店主が理解した上で商売することで、世間並み、世間並み以上の生活ができることに感謝していれば、分裂は起きないと思う。もうちょっと店舗を増やそうとすればいろいろなことを誤っちゃうのかなと思います。そこは法的に目を光らせながら対応していく」
加盟店でも、世代交代の際にはやはり三田本店での「修行」が求められる。
こうした内容はフランチャイズ契約の規定には入っていないが、グループ内の認識は統一されていると話す。
「親父さんから息子さんへうまくバトンタッチできたのかなと思います。加盟店の目黒店をはじめ、先輩方がそれを支えています。いいスクラムが組めているのかと思います」
「ラーメン二郎の顧問弁護士」として得た経験
金子弁護士が山田さんと出会うきっかけにもなった慶應義塾大学への進学は、高校3年間打ち込んだ柔道を体育会系の部活で続けるためだった。
レギュラーとして東京、全日本の柔道大会で活躍。早慶戦で優秀選手賞を得ながらも、柔道の世界には上がいた。「私は一流の下か二流の上くらいなんです。一流になりきれませんでした」
柔道で完全燃焼できなかった悔しさをバネに、自らの力を試す場を司法試験に求め、創部百十数年の歴史で初めて司法試験に合格した。