ラーメン二郎「インスパイアに勝訴」の驚く舞台裏 30年以上、二郎を支えてきた顧問弁護士の奮闘があった
話は「山田さんの哲学」に及んだ。
「食材は本部一括購入のほうが安いと言われますが、お客さんに喜んでもらえるラーメンを作るために、野菜や豚は地元の業者さんを使ってくださいと各店主にお願いしています。
その土地の出店によって、地元業者さんの売上が上がり、一緒に仕事できて良かったとなれば、味方をしてくれます。店舗に材料を入れてくれると、決まったところに置いてくれるし、肉なら必ず冷蔵庫に入れてくれるんです。店主がいい加減なやつだと、業者さんは肉を冷蔵庫に入れてくれないことがあります。
我が振りを考えるときに、業者さんの対応を見れば自分のこともわかるだろうというのが、親父さんの哲学です」
2000年代後半ころには、取り組みのひどさが目に余るインスパイア店に対して、不正競争防止法に違反しているとして、民事訴訟を起こしたこともあった。
「不正競争防止法の裁判も勝訴的和解になっています。その店には営業をやめてもらいました。今は他の名前で続けているんじゃないかと思います」
「親父さんも最初は『インスパイアも頑張ってるからいいでしょ』と言っていましたが、しかし、最近はちょっと酷すぎます。ラーメン二郎系とかインスパイアとか、『二郎をリスペクトしています』という言葉だけで、お客さんはおいといて、客が来るからやっちゃうというのは道義的にどうなのか。
どこかでぷつんと糸が切れたら、訴訟等の対応になってくるのかなと思います。過去の裁判の結果なども使って、どうにかできないかと考えているところです」
「儲からないフランチャイズ」がグループ長寿化に役立つ
81歳の今でも「俺はアルバイトだ」と冗談めかしながら厨房に立ち続ける山田さんは、二郎の象徴的存在だ。
いつまでも現役のように思えるが、金子弁護士は冷静に行く末に目線を向ける。