7万で実用性追求、XREALの新ARグラスの可能性 反応速度3ミリ/秒へ、周辺機器不要で作業効率を向上

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仕事での使い道としては、例えば新幹線や飛行機での作業が挙げられる。座席が狭くても、前の席が倒されたとしても、姿勢を自由に変えながら大画面作業できる。コワーキングスペースでも、周りを見渡せながら、自分の画面は他人の目から守れる。

場所を選ばず働くモバイルワーカーにとっても、この柔軟性は大きな武器となるはずだ。カフェやラウンジでの作業時も、周囲の状況を把握しながら、プライバシーを保った作業環境を確保できる。従来のノートPCでは難しかった、この両立を見事にクリアしている。

音響面でも工夫が光る。サウンドブランドのBoseと組んで開発した音響システムに、4つのマイクを搭載。周りの雑音を抑えながら、クリアな音声通話を実現。オンライン会議でも活躍しそうだ。雑音の多い環境下でも、クリアな通話品質を保てる点は、リモートワークが日常となった現代のビジネスシーンにマッチしている。

市場を広げる戦略

ARグラス市場は今、Apple Vision Proの登場で大きな転換期を迎えている。高機能・高価格路線の製品が注目を集める中で、XREALは「AR for ALL」という異なる道を選んだ。実用的な機能を手頃な価格で届けることで、より多くのユーザーの取り込みを狙う。

手ごろな価格で手に入るARデバイスとして市場拡大を狙う(筆者撮影)

独自チップの開発は、この戦略の要となる一手だ。ハードウェアで差別化を図りながら、コストも抑える。外付けデバイスの統合による部品点数の削減や、独自チップによる電力効率の向上など、細部にまで及ぶコスト最適化の努力が窺える。

今後の展開にも注目だ。XREALはAIとの連携を視野に入れており、音声認識や画像処理など、さらなる機能の広がりも期待できる。ソフトウェア面での進化により、使用シーンの拡大も視野に入れているようだ。

ARグラス市場の牽引者として一石を投じたXREAL。高性能と手頃な価格を両立させながら、実用性を追求する新製品は市場拡大の鍵を握る立場になりそうだ。ビジネスユースを入り口に、AR技術の普及を加速させる可能性を秘めた意欲作と言えるだろう。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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