洋上風力で英BPと提携、「わらしべ長者」のJERA 淘汰が進む洋上風力で世界4位の新会社誕生へ

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しかもJERAやその株主である東京電力、中部電力とBPはLNGを通じて長年の付き合いがある。協業は「渡りに船」(矢島常務)だった。

そして、厳しい事業環境を生き残るために、スケールメリットを追求するのは戦略の王道。中国勢を除くと風車メーカーは欧米3社の寡占状態。相対的に買い手の立場は弱くなるが、新会社設立によって一定の価格交渉力を持つことができるという算段だ。

将来的には、JERA、BP以外の企業からの出資にも含みを持たせているが、まずは足元のプロジェクトを着実に遂行できるかだ。新会社は折半出資。JERAとBPの戦略に齟齬が生じると経営は停滞してしまいかねない。

気になる丸紅との関係性

JERAとBPの協業は今後、国内の競争にも大きな影響を及ぼすであろうことは想像にかたくない。BPの日本における洋上風力プロジェクト開発でのパートナーは総合商社の丸紅だったからだ。2022年に両社はパートナーシップ契約を締結し、合弁会社を設立している。

丸紅・BP陣営は、大型洋上風力案件の第2回公募入札(第2ラウンド)で秋田県男鹿市、潟上市および秋田市沖に応札。近く落札結果が公表される第3ラウンドでも同じコンソーシアムを組んで山形県遊佐町沖で応札している。

今年3月に結果が出そろった第2ラウンドでは、応札した3陣営中、評点が最下位と苦杯をなめる結果に終わった。丸紅・BP陣営に大差をつけて勝利したのがJERA、電源開発、伊藤忠商事の陣営だった。

「第3ラウンドでBPは丸紅との関係を解消すると思っていた」とある業界関係者は話す。丸紅側がBP側の貢献が足りないと不満を漏らしていたからだという。両社間に吹くすき間風も今回の提携への補助線になった可能性がありそうだ。

JERAの発電容量の多くを占めるのが5861万キロワットある国内火力だ。海外は1386万キロワット(海外は持ち分出力)。さらに再エネは累積持ち分容量で400万キロワット程度に過ぎない。今回の新会社設立は、JERAの生き残りに向けた大きな布石になる可能性を秘めている。

JERAの発電容量の内訳
大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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