洋上風力で英BPと提携、「わらしべ長者」のJERA 淘汰が進む洋上風力で世界4位の新会社誕生へ
JERAとして再エネ導入に踏み出したのは、2017年のインド再エネ大手、リニュー社への出資にさかのぼる。その後、JERAは洋上風力に経営資源を集中。2018年にイギリスのガンフリートサンズや台湾のフォルモサ1といった洋上風力プロジェクトに参画してきた。
2023年になるとさらに攻め手を繰り出す。海外ではベルギーの洋上風力大手のパークウィンドを買収し、国内では再エネ開発大手のグリーンパワーインベスト(GPI)をNTTアノードエナジーと共同で買収した。
これら再編劇の背景には洋上風力をめぐる厳しい事業環境がある。風車の価格は4年前の2倍弱にまで上昇するなど資機材のコストが上昇している。プロジェクトの遅延も珍しくない。結果、洋上風力事業の取り組み姿勢を見直す企業が相次いでいるのだ。
BPも方針を見直しか
最大手オーステッドは昨年11月、アメリカのニュージャージー州で進めていたプロジェクトの中止を決定した。199億クローネ(約4300億円)もの減損を計上した。一部報道によると、シェル(イギリス)も洋上風力の新規開発を中止するなど事業見直しを進める。
BPも洋上風力への取り組み方針を見直し、LNG(液化天然ガス)などへ軸足を移すものと見られる。
JERAの矢島常務は、「事業環境が厳しくなってきている中で案件の取捨選択を進めている段階で株主からの圧力もきっとあったのだろう。シェルなども含め、いろいろな会社のポジションが変わってきているのが実情だ」と、会見で説明した。
そのような状況で行われた一大提携。持ちかけたのは、JERAとBPのどちらだったのか。
今年5月、JERAは2035年までのビジョンと成長戦略を発表。洋上風力事業については、「グローバルプレイヤーとの連携を目指す」としていた。これを受けてJERAには複数社から協業の誘いが舞い込んだ。その中で最も条件がよかったのがBPだったという。
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