残念ながら、期待したその2度目のピークは弱々しく、一方、同じ水準での乱高下は荒々しく続くので、利益確定をできずにうじうじしているうちに、致命的な崩壊がやってくるのである。
このとき、メンタルも1度目のバブル崩壊でやられ、財務的にも、含み益が消えている状態である。そこへ暴落がやってくる。メンタル、財務の両面で、2度目の崩壊には耐えられないのである。
今回、日本株で言えば、2024年8月5日に1度目の激しい崩壊は起きた。メンタルはとことんやられている。海外投資家は、あれ以来懐疑的で及び腰である。8月5日の暴落の理由がわからないことも、かえってメンタルダメージを深める結果となっている。
トランプ氏もアメリカも、もはや問題を解決できない
一方、市場から目を上げて、世の中を広く見てみると、バブル崩壊の最後の明確なきっかけ、ホイッスルとなる事件のリスクは高まっているし、1つに限らず、ありとあらゆる時限爆弾が目の前にある。
地政学リスクは、ロシア・ウクライナ、北朝鮮、中東、新たにシリアもある。余計なことに韓国も動揺している。そこへ、トランプ氏の登場である。トランプ氏は「ウクライナも中東も終わらせる」と言っており、それを信じたい人々は、それを理由に株価を上げている。これこそ、トランプという藁にもすがりたい投資家の気持ちを表しており、バブル崩壊はセンチメントから言って確定的だ。
それ以上に、トランプ氏が動く、何かをしでかそうとする、そのこと自体がヤバい。21世紀の世の中は、加速度的に複雑化している。だから不透明性も増し、わかっている問題も誰も解決できないのだ。それをトランプ氏が「俺がやる」といって解決できるはずがない。直近も唐突に大統領就任式に中国の習近平主席を招待すると発表したが、スタンドプレイ以外の何物でもない。
世界が単純な時代だったら、あるいは東西対立など、単純な二大対立構造なら、外野的な発想での直球解決ということもあるだろう。しかし、それは21世紀にはない。外交はいまやあまりに複雑で、身動きが取れない。
アメリカにも解決できる力などない。しかし、依然大国ではある。このポジションは、いまやもっとも難しい。下手に動けば、自ら世界を混乱に落としいれ、自分がいちばん打撃を被ることになる。しかし、世界を支配できるには程遠いどころか、最大のプレーヤーとして行動するにしては、絶対的に強いわけではない。ほかの国よりも相対的に少しだけ力があるにすぎない。
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