この状況で、トランプ氏は2期目ということで自信を持っている。かつ思い残すことなく、自分の好きなようにやる。そして、その目的関数は、これまでの外交の常識とも、政治の常識とも異なる。長期に世界がどうなろうと、かまわない。目先の手柄のために、何でも動き、成功したと思い込み、自慢するであろう。
地政学がいちばんのリスクだと思うが、中国経済、中国不動産市場の確実な崩壊もある。中国の影響は世界的に広がったために、実際に崩壊が明確になれば、ドイツだけでなく、多くのアフリカの国、島しょ国などの小国の多くが混乱することになるだろう。
欧州政治も言わずもがな、である。日本でさえ、おかしくなってきた。要は、選挙をすればするほど、まともなほうは負けるのである。民主主義の断末魔であり、既得権益の破壊という名の、秩序の崩壊である。
そして、金融政策も波乱含みだ。欧州は追い込まれ、利下げしても有効性がなく、日本も1回か2回の利上げの後は、どうしていいかわからず(そこにすら到達しないかもしれない)、アメリカでは、数回の利下げの後、どちらの方向に進むのか、予測できない。
2025年、地政学、政治、実体経済、中東、ロシア、欧州、中国どこから破綻が起こってもおかしくない。そして、本丸のアメリカも危ない。金融市場が無傷であるはずがない。
もっとも危ないのは暗号資産
いちばん危ないのはビットコインなどの暗号資産である。なぜか。ファンダメンタルズがない。「アメリカの紙幣にもファンダメンタルズはないから一緒だ、むしろ増発ルールが明確なほうが、分散型システムのほうが、民主的で信頼できる」、というのが、ビットコインが大好きな人々の主張であるが、しかし、ファンダメンタルズだけでなく、暗号資産には「信用」すらない。
アメリカ政府は嫌われているかもしれないが、同国の通貨には「信用」はある。何をアメリカのマネーサプライについて行っているか、これ以上ない、というくらい説明している。だが、ビットコインには何もない。ステーブルコイン(法定通貨などの安定した資産に価格が連動するように設計された暗号資産)ですら、発行者がすべてを本当にオープンしているか確かめようがない。
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