山口真由「落ちこぼれエリート」だった過去の私 "どん底"にいた自分が「やるべき」だったこと
「私の28歳は、まさに人生のどん底でした」
自身の経験をそう振り返るのは、元財務官僚で信州大学社会基盤研究所特任教授の山口真由さんだ。
東大を卒業し、財務省勤務を経て弁護士に。その後ハーバード大学留学、東京大学大学院入学と、きらびやかなエリートコースを歩んできたように見える彼女だが、28歳の時にはいくつもの挫折や失敗を経験したと明かす。
当時の焦りや葛藤を乗り越え、自分らしい生き方にたどり着いた山口さんが語る、28歳の時に「やってよかったこと」「やっておけばよかったこと」とは。
仕事も結婚も「王道」から外れるなんて
私が28歳の頃は、自分が思い描いていた「王道のキラキラキャリア」から外れていっているのではないかと、とにかく焦っていた時期です。
底が分からない真っ暗な海を、沈まないように必死にもがきながら泳いでいる。そんな感覚でした。
当時は財務省を辞め、弁護士になって3年目。仕事にも慣れ、少しずつ責任ある仕事を任されるようになってきた頃です。
でも同時に、思うような結果が出せずに悩んでいた時期でもありました。
弁護士になった当初は、比較的評価が良かったんです。もらった指示を完璧にこなしたり、リサーチを徹底的にしたりするのは、勉強が得意な私の強みを活かせる仕事だったから。
でも、年次が上がるにつれて、自分の意見を求められたり、後輩のマネジメントをしたり、仕事の裁量や責任が増えていきました。すると、私の評価は途端に下がっていったのです。私は勉強は得意でも、そういう仕事がうまくできるタイプではなかったんですよね。
気付けば案件を任されなくなり、やることがないので朝から晩まで事務所宛に届いたスパムメールをチェックして過ごした日も。あまりにも情けなくて悔しくて、泣きながら帰ったこともありました。
学生時代は成績も優秀で、常に高い評価を得ていたからこそ、当時は自分のアイデンティティーが「エリート中のエリート」であることに疑いすら持っていなかったんです。