山口真由「落ちこぼれエリート」だった過去の私 "どん底"にいた自分が「やるべき」だったこと

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(写真:吉永和久)

当時は、将来のビジョンについても、漠然としたイメージしか持っていませんでした。

けれど、何となく「業界の“女性初”をどんどん塗り替えて、バリバリ活躍して成功している」とか「30代前半までに結婚して子供もいる」自分を疑いもしていませんでしたね。

でも実際は、仕事面でも悩んでばかりだし、プライベートでも「30歳までに“ちゃんとした”結婚をしなければ」という強迫観念のようなものに取りつかれていたんです。

でも、仕事が手一杯で、出会いを探す余裕もない。「結婚市場では29歳を過ぎると“おばさん”扱いされる」なんていう説をうのみにしたりもして、早く結婚相手を探さなきゃと焦っていました。

エリートが自分のアイデンティティーだったはずなのに、恋愛市場ではわざと「ばかで可愛い女子」を演じることもあって。プライドを持って仕事を頑張っていても、結局は若さや可愛らしさで評価されることにも苦しんでいました。

(写真:吉永和久)

何もかもうまくいかず、人生に焦った私が取った行動は、「さらに自分を追い込むこと」でした。

弁護士事務所を辞めてハーバード大学に留学したり、向いていない分野の弁護士になろうとしたり。この期に及んで、仕事でも婚活市場でも、周りに自慢できるような“武器”を増やすことばかり考えていたのです。

今振り返れば、もっと肩の力を抜いて「引き算」すればよかったかもしれませんね。

その後も、20代後半は散々でした。仕事をなくして金銭的に困った時期もあったし、将来を約束したパートナーから婚約破棄されたことも。28歳はまさに、失意のどん底にいた時期でした。

へし折られたプライドが、私を強くしてくれた

そんな時期を抜けられたのは、留学経験などを経て、自分の得意分野が少しずつ見つかってきた頃からです。

若い頃は弁護士の花形とも言えるM&Aを担当していてうまくいかなかったけれど、本来の私の強みは「誰よりも早く・深く資料を読める」こと。そこに気付いてからは、例えばコメンテーターの仕事などに自信を持って挑めるようになったんですよね。

強みが分かったからこそ、何かあればそこに立ち返ればいいんだと、肩の力を抜いて楽に生きられるようになった。

そして今なら「20代でエリートとしてのプライドを散々へし折られ、傷つく経験ができてよかった」と思えるまでになりました。

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