山口真由「落ちこぼれエリート」だった過去の私 "どん底"にいた自分が「やるべき」だったこと

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(写真:吉永和久)

当時のことは今思い出すのも本当につらいくらい、自分のふがいなさを痛感した経験でしたが、いまは「あの試練を味わってよかった」と心から思えるんです。

その理由はいくつかあります。一つは、いろいろな経験をして自分の強みを見つけたからこそ、心から納得感を持った選択をできるようになったから。

もう一つは、「二度とあんな悔しさを味わいたくない」という思いが強い原動力になって、今の私を鼓舞してくれるから。

世の中から「花形」と言われる仕事や、周りから「羨ましがられる結婚」に固執して、プライドや自信という鎧で武装していた以前の私は、周囲の意見や助言を聞く素直さも持ち合わせていなかったと思います。

でも少し遠回りはしたけれど、今は自分が本当にやりたい仕事、心から大切な人と向き合えている。そう考えると、挫折や失敗が私を強くしてくれたし、自分の輪郭をはっきりとさせてくれたと感じます。

ロールモデルよりも、同世代の仲間を見つけよう

一方で私が「28歳の時にやっておけばよかったな」と思うことはいくつかあります。

まずは多様な属性やコミュニティーの人と交流すること。同世代の仲間を見つけること。そして、自分の弱さをオープンにすることです。

当時は仕事を頑張ることと結婚を考えられる相手と出会うことに必死だったから、それ以外は自分には必要ないと、人とのつながりを排除してしまっていました。

女子会やるくらいなら、その時間で合コンした方が有益じゃない? なんて本気で思っていましたから(笑)

でも今になって、いろいろな価値観に触れたり、同年代の仲間と励まし合ったりすることの尊さに気付いたんです。

よく若手の子が「私には女性のロールモデルがいない」と嘆く声を耳にしますが、私は上の世代で成功している「ロールモデル」を探すのもいいけれど、本当はもっと近くで支え合える「同年代の仲間」を見つけることが大切なんじゃないかなと思います。

だって仕事で成功してキラキラ輝く女性の上司や先輩は、何だか隙がなく完璧な人間に見えてしまいますし、世代が異なれば、置かれている環境も向き合う課題も違うと思いますから。

それなら今同じ時代を生きている仲間たちと、励まし合い、支え合いながら自分たちでキャリアを切り開いていく方が有意義ではないでしょうか。

(写真:吉永和久)
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