山口真由「落ちこぼれエリート」だった過去の私 "どん底"にいた自分が「やるべき」だったこと

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また当時の私は仕事や恋愛に悩んでいたし、30代後半になっても子供がいないことをコンプレックスに感じていて、周りの友人や同僚に悩みを打ち明ける勇気を持てずにいました。

でも、思いきって同世代の人と話してみると、案外自分と同じような悩みを抱えている人も多いと分かったんです。

完璧に見える人も、見えないところでは血の滲むような努力を重ねているし、たくさん失敗して傷ついて、それぞれの悩みを抱えている。

そう分かってから、自分の傷が少し癒された気がしましたし、その後の人生でも連帯できる大切な「仲間」「同志」になりました。

だから、今仕事や恋愛などがうまくいかなくて悩んでいる方がいたら、弱さや苦しみを一人で抱え込まず、できるだけ周りの人にオープンにして仲間をつくってみて、と伝えたいですね。

人生に正解はないから、“及第点”を取ればいい

最後にこの記事を読んでいる方に伝えたいのは、「予想外のことが起きる人生も面白いよ」ということ。

学校のテストは勉強すれば対策ができるけど、社会で満点を取るのは難しいじゃないですか。

私も28歳頃には、「こんなに頑張っているのに、なんで結果が出ないんだろう」と思ったこともありました。

でも、人生はテストとは違ってコントロールできない要素がたくさんあるし、予想していなかった出来事に遭遇することもありますよね。

私自身、30代で卵子凍結をして、40歳直前で出産を経験して、20代の頃に思い描いていたライフプランとは全く違う道を歩んでいます。

自分がかつて思い描いた「キラキラのエリートコース」の上にはいないかもしれない。特に子育てをしている今なんて、毎日がハプニングの連続で、本当にハチャメチャ(笑)

でも今は、そんな“完璧じゃない”自分が好きだし、ままならない毎日にこそ幸せを感じているんです。

(写真:吉永和久)

そもそも、キャリアや人生の選択に「正解」も「ゴール」もないですよね。

だからこそ、自分でコントロールできないことに執着するよりも、「今この瞬間」に自分ができること、目の前の相手に向き合う方が大切。

そして「満点を取ろうとするんじゃなくて、『このくらいでいっか』って及第点が取れたら、それでいいんじゃない?」って、今の私は思うんです。

28歳は、人生の長い道のりのほんの一部分です。あまり肩肘張らずに、時には同世代の仲間と語り合いながら、自分らしい未来を見つけてもらえたらと心から思います。

山口 真由さん
1983年生まれ、北海道出身。2006年に東京大学を卒業後、財務省に入省。その後弁護士事務所を経てハーバード大学ロースクール卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。現在は信州大学の特任教授として教壇に立つかたわら、テレビでのコメンテーターとして「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日)、「ゴゴスマ」(CBCテレビ)などに出演中。著書に『挫折からのキャリア論』(日経BP) 『前に進むための読書論』(光文社新書)など多数。X

(取材・文/安心院 彩 撮影/吉永和久)

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『Woman type』編集部

「Woman type」は、キャリアデザインセンターが運営する情報サイト。「キャリア」と「食」をテーマに、働く女性の“これから”をもっと楽しくするための毎日のちょっとしたチャレンジをプロデュースしている。

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