「デカいiPad」は、誰が何をするマシンなのか iOSデバイスとMac、その線引きはどうなる?

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iPad Proは、エグゼクティブが使うツールのように見える。部下が作ったものを見て、リクエストを付けて返すといった作業や、打ち合わせ時にちょこっと図やパースなどを書いてイメージを膨らませるために使うといった作業だ。そして本格的にモノを作るのは、別のIT土方の仕事だ。

我々が出してるメルマガような、現場でバリバリ書いたものがダイレクトに皆さんに配られていくような仕事をするIT土方は、どんなに強力なプロセッサを搭載しても、iPadではフィニッシュまで至らないだろう。平行して使えるツールが少なすぎるからである。

iOSプラットフォーム最大の弱点は

例えばモノカキであれば、最低限気に入ったテキストエディタとウェブブラウザ、PDFリーダーは同時に見たいものなのである。時には動画を確認しないといけないし、録音を聴いたりもする。フィニッシュまで仕上げるには、同時に沢山のフォーマットのファイルを参照する必要があるのだ。 これができないのが、iOSプラットフォーム最大の弱点であるし、逆にそれができることが、PCやMacの強みである。

iPad Proの出現で、モバイルOSタブレットとタブレットPCの境界線は、一時的にはすごく滲むだろう。iPad Proだけでそこそこの作品を作り上げ、十分だと言い放つ人も出る。しかし過去iPhoneだって、そのカメラだけでショートムービー1本作ったという人も現われたぐらいなのだ。やろうと思えばできないことは何もない。

ただ、常時仕事としてそれができるかといえば、できない。全ての仕事のスケールを、使ってるデバイスでやれる範囲に合わせられないからだ。

ただアップル社はiPad Proの発売によって、ペンで絵を描くタイプのユーザーからの膨大なフィードバックが得られることになる。それは今後、MacOSとiOSの統合化の中で活かされていくことになるだろう。 MacOSで画面に直接手書きペン入力という世界まで、そう時間はかからないだろうと予想している。

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小寺 信良 映像技術者、コラムニスト

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こでらのぶよし / Nobuyoshi Kodera

コラムニスト/映像技術者/インターネットユーザー協会代表理事。1963年宮崎県出身。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、ライターとして独立。AV機器から放送機器、メディア論、子供とITの関係まで幅広く執筆活動を行う。主な著書に「Ustreamがメディアを変える」(ちくま新書)、「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)など。WEBではAV Watch、ITmedia、価格.com にてコラムを好評連載中。夜間飛行より毎週金曜、メールマガジン「金曜ランチボックス」を発行中。

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