実はジリ貧「養命酒」が密かに抱えてきた"課題" 強すぎるブランド力ゆえ「味への誤解」があった

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同時に、売り上げが減少した養命酒に代わる主力商品を目指して、商品開発も積極的に行った。和漢素材を使ったリキュール、のど飴など、健康に寄与する食品を次々と考案。いずれもオリジナリティが高く、健康志向のユーザーを一定数は獲得できたという。

けれど、これらの商品は、市場で大きな反響を呼ぶまでには至らなかった。その最大の敗因は、養命酒が持つイメージの二面性だ。「身体にいい」「安心な商品である」という信頼感は、長く愛される商品だからこその財産であり強みだ。

だがその一方で、「身体によさそうだけど、おいしくなさそう」という味に対する先入観が根強くあったのだ。そのイメージから、スーパーの売り場などへの新商品の設置を断られることもあったという。福盛さんは悲しげに振り返る。

「養命酒はあくまで、『年配の方が健康のために飲むもの』であって、万人に飲まれる、おいしいものではないというイメージがあったのです。だから新商品を出しても『自分ごと化』されず、『自分たちの世代に向けた商品ではない』と思われてしまう場面が数多くありました」

新商品を一度購入してファンになると、リピーターになりやすいという特徴はあったものの、いかんせん、その分母は小さかった。

養命酒
現在のボトルとパッケージ。ロゴマークは、龍が翼を持ち、空を飛んでいる姿。養命酒の優れた効果を表しているという(写真提供:養命酒製造)

実際のところ、養命酒を飲んでみると、妙にクセになるうま味があり、苦みはない。薬というよりは、みりんや醤油に近い味わいだ。

 アルコールが含まれることを考慮しても、こちらの表現のほうが実態を捉えているはずだ。

ところが飲んだこともない人から、「薬くさい」と言われたり、漢方的な味を連想されてしまうという。

養命酒のネームバリューは、強大なブランド資産だ。しかしながら、新商品を展開するうえでは、ネガティブな要因となってしまっていたのだ。

くらすわの誕生と可能性の発見

こうした試行錯誤のなかで、2010年、長野県諏訪市に誕生したのが「くらすわ」だった。

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