日本のゆるい職場で専門性獲得できる人の生き方 「石の上にも3年」戦略はもはや通用しない?

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例えば、「意に反して地方に配属された」「就活で意中の内定が全然出なかった」ことは、そのままでは、転職活動でも面接官は何の関心も示しませんし、あなたのこれからのキャリアでの行動に再現性をもたらしてくれることもありません。しかし、「そこで偶然得た経験が今に活きている」と意味づけることができれば、それはあなたのキャリアに「近道」をもたらします。

すでに行ったことがある経験を「1万時間」に上積みしたり、獲得にドライブをかけられること、これが「近道」をつくるということです。

徐々にコミットメントの比重を変えていく戦略

ずらしてつくる:コミットメントシフト

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最後に大切なのが、「ずらしながら、つくる」、つまりコミットメントシフトです。現代のキャリアチェンジのケースを見てみると、いきなり0が100になる、100が0になる(通常の転職や退職はこのケースが多いです)よりも、自分が同時並行で持っているキャリア・キャンペーンの中で、徐々にコミットメントの比重を移していくほうがうまくいっている、という特徴があります。

先述のキャリア・キャンペーンにおいて、あなたの気持ち・時間・収入においてそれぞれのミッションが占める割合を、書き出してポートフォリオを作りましょう(図)。全体を100として、現在の気持ちに占める割合、時間に占める割合、収入に占める割合は必ずしも一致しないものです。

(図:大和書房提供)

現在のポートフォリオを書いたうえで、今度は理想のポートフォリオを書いてみます。気持ちのかけ方、時間の使い方、収入の得方について理想像を明らかにし、今後の各キャンペーンに対する姿勢を明確にします。

そのうえで、理想への変化に向けて“余白”をつくります。どこかに余白がないと(特に時間の余白がないと)変化させることはできませんから、最も余白がつくれそうなキャンペーンを見つけます。余白ができたら、そこにスモールステップ(新たな「寄り道」)を組み込みます。

古屋 星斗 リクルートワークス研究所 主任研究員

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ふるやしょうと / Shoto Furuya

2011年一橋大学大学院社会学研究科 総合社会科学専攻修了。同年、経済産業省に入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わる。

2017年より現職。労働市場分析、未来予測、若手育成、キャリア形成研究を専門とする。著書に「ゆるい職場-若者の不安の知られざる理由」(中央公論新社、2022)、「なぜ『若手を育てる』のは今、こんなに難しいのか」(日本経済新聞出版、2023)、「『働き手不足1100万人』の衝撃」(プレジデント社、2024)。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。

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