日本のゆるい職場で専門性獲得できる人の生き方 「石の上にも3年」戦略はもはや通用しない?

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最低必要努力量という言葉があります。それは、「人が何らかの専門性を発揮できるようになるまでは、一定量の努力(経験)が必要である」いう概念です。似た概念の言葉では、専門性を獲得するには1万時間が必要という「1万時間の法則」を耳にしたことがある人もいるかもしれません。1万時間という単位はあくまで仮定のものだとしても、何かの専門性を獲得するためには一定量の努力と時間が必要であることは、誰しも納得できるでしょう。

となると、“きつい職場”によって半ば強制的に経験の場を与えられることがなくなった“ゆるい職場”の時代において、キャリア戦略の最大の課題は以下のように考えられるはずです。

―では、どこでどうやって1万時間を獲得するのか?

―では、どこでどうやって最低必要量に達するべく努力を投資するのか?

(図:大和書房提供)

専門性を獲得するための戦略が変わっている

「職業社会における自分の稀少性・専門性を獲得するために、一定の努力投資が必要である」という原則は、今も昔も変わりません。しかし社会の変化によって、この原則のために社会人がとるべき有効な戦略は、全く異なるものになろうとしているのです。

現代に有効なキャリア戦略を考える前に、かつては有効だったそれについて見てみたいと思います。2010年代以前には、以下の図が示すような2つの代表的なキャリア戦略が有効でした。

(図:大和書房提供)

1つは「石の上にも三年」戦略です。終身雇用が基本で、OJTやOff-JTが充実していた時代には、本業の職場の仕事を粛々とこなしていくことで、確かにいずれは一本道で最低必要努力量を獲得することが可能でした。

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