例えば、利回り3%で金利0.5%なら、2.5%のスプレッドが存在して、適正な範囲となる。バブルのときは利回り2%・金利8%で、-6%のスプレッドだった。
マイナスの収益性でも投資意欲が衰えなかったのは、それ以上に価格が上昇していたからだ。年率50%アップの多大なキャピタルゲインが見込めるなら、スプレッドがマイナスでもお構いなしになるものだ。これは保証の限りではないキャピタルゲインを期待しての丁半ばくちと同じなので、「バブル」と呼ばれて当然となる。
次に、不動産価格が下がる局面で起きていたことを把握しておこう。バブルの崩壊は人為的に起こしている。当時の大蔵省が総量規制という不動産業への貸し出しを制限したことに始まる。誰もが不動産の先高観から借り入れをやめないことから、貸し出すことを制限したのだ。
売買に出ている不動産量に対して、不動産事業者の資金量が相対的に多くなると、当然価格は上がることになる。しかし、総量規制で資金量が細ることで、価格が下がり始める。そもそも値上がり期待で資金を借り入れ、不動産購入していた不動産事業者は担保割れすることになり、早晩多くの不動産会社が倒産することになる。
リーマンショック後に起きていたこと
もう1つの下げ局面はリーマンショック後だ。この際はアメリカのサブプライムローンという低所得者向けの規範を失った貸し込みの焦げ付きが発端だった。日本にはこのようなリスキーな住宅ローンはなかったが、金融機関は不動産ならびに住宅への貸し出しを一斉に引き上げた。首都圏の新築マンションデベロッパーの3~4割は倒産したと記憶している。
そうなると、保有していた建築中の不動産は体力のある会社に安値で売却されるので、一時的に価格は下がった。法人が売る新築マンションで2割、個人が売却する中古で1割下げたが、1年で下げ止まり、その1年後にほぼ元通りの価格に戻っている。これがミニバブルの崩壊に起きたことだ。下げ幅は意外に小さく、大暴落とはいいがたい。
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