セブン解体で岐路に立つ「コンビニATM」の王者 非連結化なら伊藤忠主導で業界再編に発展も?
中でも注目は、セブンイレブン以外のコンビニチェーン店舗への設置だ。別の業界関係者は「伊藤忠商事の子会社であるファミリーマートの店舗に、セブン銀行のATMが設置されるのでは」と指摘する。
ファミマの名が挙がる理由は2つある。1つはセブンイレブンやローソンと異なり、ファミマは銀行子会社を持たず、独自のATM戦略を打ち出せていない点だ。ファミマの店舗には金融機関など63社の共同出資で設立された「イーネット」のATMのほか、2014年からは一部店舗でゆうちょ銀行のATMが設置され、店舗ごとに異なる機種が混在している。
折しも、セブン銀行は生体認証やQRコードの読み取りなどを搭載した新型ATMを展開中だ。機能性に優れるATMを得られるファミマと、現金輸送や保守運営の共同化などでスケールメリットを享受できるセブン銀行との相性は悪くない。
伊藤忠が促すコンビニATM連携
もう1つは、イトーヨーカ堂とヨークベニマルがセブン銀行株を処分する可能性があることだ。セブン&アイHDから切り離された暁には、2社がセブン銀行株を保有する義理はなくなる。
2社が保有するセブン銀行株の価値は、足元の株価で約300億円。セブン銀行の単体自己資本比率は約30%と銀行の中では最高峰だが、災害などでATMが破損するリスクを考慮すれば、自己株買いに踏み切る余力は乏しい。そこで、伊藤忠商事がセブン&アイHDの非公開化を支援した場合、セブン銀行株も一緒に引き取り、ファミマとの連携を促すシナリオが浮上する。
スーパーや専門店、外食、金融など、非中核事業に位置づけられたセブン&アイHDの子会社たちは、いずれ親会社の後ろ盾を失う。日本を代表する小売りグループの解体は、さまざまな業界再編の呼び水となりうる。
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