セブン解体で岐路に立つ「コンビニATM」の王者 非連結化なら伊藤忠主導で業界再編に発展も?

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セブン&アイHDとの関係が断ち切られるわけではないものの、グループとの間に距離が生まれることはセブン銀行にとって無視できない。

セブン銀行はATMを運営する傍ら、2023年に電子マネー「ナナコ」やクレジットカードを発行するセブン・カードサービスをセブン&アイHDから買収した。グループ各社の会員基盤である「セブンID」を活用し、キャッシュレス決済を核にした経済圏を構築する狙いだ。そうした中での非連結化となれば、成長戦略に狂いが生じかねない。

実際、親会社のセブン&アイHDは、セブン銀行が推進する経済圏の構想とは相反する動きを見せる。

「何がしたいのだろうか」。業界関係者が首をかしげるのは、セブン-イレブン・ジャパンが10月に発表した、三井住友カードとの連携だ。同社のカードをセブンイレブン店舗で利用すると、Vポイントが最大10%還元される。

実はこの時、セブン銀行も同様のサービスを11月から始める予定だった。セブン・カードサービスのクレジットカードを利用すると、同じく10%のポイント還元が受けられる内容だ。

見逃せないのは、セブンイレブンと三井住友カードとの提携が単なる集客にとどまらない点だ。ポイント還元を受けるにはセブンイレブンアプリでVポイントの設定を行う必要があるが、利用規約をよく読むと、セブンIDの会員情報を三井住友カードに提供する旨の記載がある。虎の子の購買データを商売敵に渡す姿は、「セブン銀行の非連結化を見越した動きにも映る」(同)。

「セブン色」が薄まる利点

セブン&アイHDの子会社でなくなった場合、セブン銀行はグループ外に活路を求めることになりそうだ。松橋社長も、連結子会社から外れることで「われわれの事業展開に自由度が出てくる。グループ外へのATM設置を拡大できる可能性はある」と話す。

セブン銀行のATMは、セブンイレブンやイトーヨーカドーといったHD各社の店舗にはほとんど設置済み。現在はHD外の商業施設や公共施設に力点を置いている。

ただ、「金融機関からATMの共同運営を受託している案件に関しても、『セブンイレブン色』が強いとして敬遠されている先もなくはない」(松橋社長)。セブン色が薄まれば、ATMの設置先の開拓が進みそうだ。

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