悲鳴!実質手取り額はこんなに減っている 共働き、片働きなどを年収別に徹底比較
●【減額小さいシングル世帯】
年収500万円の単身世帯の2011年時点の実質可処分所得は394.2万円。同じ年収の片働きの子育て世帯に比べて約40万円少ない。単身世帯には配偶者控除などが適用されないからだ。
ただし、実質可処分所得の減少額は、2011年から2018年にかけて18.6万円で、子育て世帯の6割程度にとどまる。単身世帯には児童手当などの給付がもともとないぶん、子育て世帯ほどには制度改正の影響を受けないからだ。
●自治体の給付金も狙え
程度の差こそあれ、負担増はあらゆる家計を襲うことがわかった。少しでも補う手はないものか。本誌は、地方自治体などが独自に実施する「給付金」に注目した。
オンライン家計簿のZaimが8月に行った調査では、居住地の自治体からもらえる給付金について「知らない」と答えた人が71.6%を占め、情報収集したことのある人は16.7%にとどまった。その一方で、実際に申請を行った経験のある人の83.4%が「手続きは容易にできた」と回答した。
同社の綿島琴美さんは、こう指摘する。
「給付金制度の課題は、手続きではなく、情報提供にあることが調査から明らかになりました。『情報が探しにくい』『自分が給付の対象になるのかがわかりにくい』といった声が多かったのです」
こうした実態を踏まえ、同社は全国1718自治体のホームページで給付金情報を調べてデータベース化し、ネットで情報提供を始めた。ユーザー登録をすると、自分が住んでいる地域の自治体から受給できる可能性のある給付金や手当・控除が、自動抽出される。
「給付金は居住地、年齢、家族構成によって大きく変わります。ペットを対象にした給付金を設けている自治体もあります」(綿島さん)
よこはまウォーキングポイント(横浜市)、新婚さんいらっしゃい事業(香川県琴平町)、野菜ソムリエ育成補助金(愛知県大府市)など、内容はバラエティーに富んでいる。
いずれにせよ、家計防衛の手段は、出費を減らすか収入を増やすかのどちらか、または両方だ。雇用が流動的なこのご時世、一人でより多く稼ごうとするより、共働きでリスクを分散したほうがいいのは言うまでもない。先に見たように、税制などの面でも共働き家庭のほうが片働きより優遇されているのだ。
ただ、共働きにも死角はある。
「財布を夫婦で分けている世帯では、おカネがたまらないケースが多いのです」
と警告するのは前出のFP、藤川さんだ。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2014年)をもとに本誌が計算したところ、年収1000万円以上の世帯の平均貯蓄額は、片働きが4572万円なのに対し共働きは2857万円。貯蓄ゼロの世帯は、片働きがわずか2%なのに対し、共働きは11%もあった。
「2つの財布をひとつにするのが理想ですが、難しければ収入と貯蓄の額だけでもお互いに公開すべきです。夫婦が家計の目標を共有すれば、共働きならではのポテンシャルがより発揮されます」(藤川さん)
家計簿共有で夫婦円満
家計を共同管理している夫婦ほど、家計への満足度が高いという結果は、Zaimの調査からも出ている。
「家計簿をはさんで向かい合っているより、共有して一緒に前を向いている夫婦のほうが家計への満足度は高い。夫婦が危機感をともにでき、見当違いな出費をめぐる衝突も避けられるからです」(前出・綿島さん)
最強の家計は、他人に振り回されない独自のライフプランを打ち立てられる家計だ、と藤川さんは語る。
「右肩上がりの時代を生きた親世代の『ふつう』は、もはや『ふつう』ではなくなりました。これからは自分たちの時代に合ったモデルを見つけていかないといけません。地に足の着いたオリジナルのライフプランを実践できる家庭は、どんな環境にあっても強いのです」
(編集部:石田かおる)
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