彼/彼女の皮膚感覚が熱かった時代を作った--『60年代のリアル』を書いた佐藤信氏(東京大学大学院法学政治学研究科修士課程在籍)に聞く

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彼/彼女の皮膚感覚が熱かった時代を作った--『60年代のリアル』を書いた佐藤信氏(東京大学大学院法学政治学研究科修士課程在籍)に聞く

若い世代を書き手にする「社会論」の刊行が盛んだ。1988年生まれの異彩の政治学徒が「皮膚感覚」で読み解く、リアルな60年代、リアルな政治とは。

──なぜ60年代に興味を持ったのですか。

最初のヒントは御厨貴先生に与えていただいた。親の世代も60年代を経験していない。まったくつながりがない世代だが、関係ないはずの時代や世代に相通じるものが感じられ、面白く見えた。なぜこんなに時代の離れている人たちに対し、ある種の感情移入といった不思議な感覚が起こるのか。まず「若さ」という面からとらえてみようというのが興味・関心だった。

60年代ブームが出版界に一時的にあった。ただそれらは60年代を経験した世代が書いている。でも読む人は意外に若い人であったりして、そういう感覚は僕らの世代全般にも共有されているのかな、と思った。

──なぜ、60年や68年、69年ではなくて、60年代なのですか。

60年代を書けるのはそれと切り離された世代の特権かもしれない。これまでフタコブラクダのこぶのように別々の文脈で語られてきた60年安保闘争と60年代末の大学紛争を引っくるめて、より大きなうねりとしてとらえた。そういう視点を持って初めて60年代のリアルは見えてくる。組織形態や思想がまったく違うことを承知のうえで、全学連も全共闘も引っくるめて、熱かった時代の全部を扱ってみようと思った。

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