彼/彼女の皮膚感覚が熱かった時代を作った--『60年代のリアル』を書いた佐藤信氏(東京大学大学院法学政治学研究科修士課程在籍)に聞く

──リアルとは、皮膚感覚や肉体性とも結び付く?

なぜ60年代の彼らはあんなに熱かったのか。僕らはニヒリスティックとかクールとかいわれる。ところが、彼らはイデオロギーを信奉でき、国会議事堂に向かって行動的に出ていったりする。そういう熱さ、この根源的といってもいい感覚が理解しにくいし、そういう感覚について彼ら自身も語ってくれない。その当時は革命の雰囲気があったのだと言われても、僕らには釈然としない部分がある。

その説明し切れていない部分を何とか明らかにできないかと考えていく中で、それはリアルとか皮膚感覚なのかな、と思うようになった。それが政治学徒とどう関係しているのか振り返ると、見捨てられてきた皮膚感覚、根源的な感覚としてのリアルが、いかに政治ないし政治学に結び付くかという問題意識もある。

──「連帯を求めて孤立を恐れず」という標語に注目しています。

それ自体はよく言われてきたフレーズ。ただ、それをリアルの観点から読み解いてみると、この皮膚感覚で生み出された言葉には宿ったものがある。単純に皮膚を重ね合わせると、人と人が理解し合える側面があると同時に、皮膚によって分け隔てをはっきり意識する側面もある。それが皮膚の二面性。一体化ではなく連帯という言葉を使うこと自体にその意味が込められている。群衆が集まって一体化したように感じるのとは違う意味が連帯にはある。この二面性を彼らは感じていたのではないか。

──この本ではその彼らを「彼/彼女」と記述しています。

単純に洋書に出てくる表現でそう書いた。時に順番を変えているのは、男女どちらの影響力が大きかったかによる。連合赤軍の話をしている部分では、永田洋子の影響力が強かったから彼女から始めた。運動、闘争では男性的な部分が強調されるが、そこに女性ももちろん含まれ、フェミニズムにもかなりの影響を与える。文体や用語によって自分の思考が影響されるという認識もあって、そう表現した。若者の運動だから性の問題と無関係ではないはずとの問題意識も持っていたが、資料がそろわず、この点は書き逃した。

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