この年も例年通り9~10時間の勉強を続けたこともあり、センター試験では770/900点を記録します。
しかし、この歳になって周囲から、「そろそろ大学に行ったほうがいい」と説得されて、センター利用入試以外で、初めて私立で併願校の受験を検討します。その候補の1つとして考えたのが、上智大学経済学部経営学科でした。
「早慶は問題に癖があるのでその対策をしている分、東大の対策の時間も取られますし、東大受験が終わる前後に結果が出るというデメリットがありました。そのため、2月の上旬に受けられて、すぐに結果がわかる上智大学を受けました」
こうして受けた上智大学には無事合格。手応えをもって臨んだ4浪目の東大受験では各科目の頻出分野を徹底的に対策して臨んだものの、最後まで苦手科目が足を引っ張り、不合格者ランクは「B」で受験を終えました。そして鹿瀬さんは、4年間の挑戦に終わりを告げ、上智大学に進学する決意をしました。
浪人は技術を鍛える場だった
波瀾万丈の浪人生活の末、上智大学に進学した鹿瀬さん。「浪人していて、焦ったことは4年間で一度もなかった」と語る彼に、浪人してよかったことを聞いたところ、「"技術"を鍛えられたこと」、浪人して変わったこととしては、「個人プレーより集団で何かを目指すほうが楽しいと気づけたこと」と答えてくれました。
「親の教育と高校時代の環境で、他者への思いやりとやり切る力、フォア・ザ・チーム(チームのため)といった『心』が鍛えられました。そこに、浪人の経験で、仕事の技術の土台となる論理的思考力を身に付けられたと思います。親のおかげで浪人することができたので、妹も含めた家族に感謝しています。
思えば、浪人生活は、高校の野球部の生活と真逆の環境でした。集団主義で、『気合い』が大事なのが野球部時代で、個人主義で『論理的思考』が大事なのが浪人時代ですね。
個人的に今、仕事で大事なことは『気合い』と『論理的思考』だと思っているのですが、前者は高校時代に理不尽な出来事に対処したことで身に付き、後者は論理的思考を突き詰めた浪人時代に備わったと思います。
他者と仕事をするときに必要な『共感力』や『寄り添い力』も、土台の1つにロジカルシンキングがあると思います。自分と他者の都合を整理するからこそ、共感して寄り添って仕事を進められると思うんです。まだまだ完璧じゃないですが(笑)」
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