DB12を体験する3週間ほど前、日本のスポーツカーの未来を考える場面があった。岡山国際サーキットで開催された、スーパー耐久シリーズ第6戦でのことだ。
コース上では、日産「フェアレディZ(Z35)」「GT-R(R35)」、トヨタ「GRスープラ」「GRヤリス」、ホンダ「シビック タイプR」、スバル「WRX S4」、そしてマツダ「ロードスター」など、日本を代表するスポーツカーが疾走している。
スーパー耐久は、プライベーターから自動車メーカー本社直轄のワークスチームまで、さまざまなチームやメンバーが、それぞれの目的を達成するべく参戦する耐久レースである。
現在のスーパー耐久では、プライベーターにとっては各種クラスでのベストフィニッシュ、自動車メーカーチームは、カーボンニュートラルに向けた次世代技術の量産化が目的だ。
そうした光景を見ながら、「スポーツカーとは何か?」を考えた。
スポーツカーの歴史を振り返る
そもそも、スポーツカーに定義はない。時代を振り返ってみると、高度経済成長期だった1960〜1970年代は、4ドアのセダンがファミリーユース、2ドアのクーペがスポーティな若者向けとされていたため、一般的にクーペがスポーツカーと呼ばれた。
そうした中で、トヨタ「2000GT」、マツダ「コスモスポーツ」、そして日産「スカイラインGT-R」など、少量生産で高付加価値のスポーツカーも登場する。
自動車メーカー各社は、新車販売のセールスプロモーションと技術開発のために、自動車レース(モータースポーツ)を積極的に活用し、スポーツカーは若者にとって憧れの存在となっていく。スポーツカーは、企業イメージの象徴であった。
海外に目を向けると、ヨーロッパではポルシェがスポーツカーの筆頭に。アメリカでは、大排気量のV型8気筒エンジンを搭載するフォード「マスタング」や、GM(ゼネラル・モーターズ)のシボレー「カマロ」などが人気となる。
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