「ゆるい働き方」に不安を感じる若手社員の本心 時間に余裕ができたけれど、心には余裕がない

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試すためのツールも広がりつつあります。VRで疑似体験できる仕事もありますし、カードゲームでシミュレーションできるかもしれません。インターンシップにも、社会人インターンシップというものがあります。オンラインでの機会も広がっています。疑似的にでも、シミュレーションでも、「少し試して諦める」ことができる環境は広がっているのです。

経験したことを小さく振り返る

⑤体験を自分のものにする
(振り返り/Introspection)

スモールステップの最後のファクターとして、「小さくいろいろとやってみたことを自分のものにする」という要素が必要だと考えています。ただ、いろいろやっているだけでは、スモールステップは完結しないのです。実施したスモールステップに「意味づけ」を行わなくてはなりません。

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経験してきたことを小さく振り返ることで、自分の体験が真に自分の血肉となり、新しい気づきにつながっていくプロセスです。このスモールステップを、「振り返り(Introspection)」と呼ぶことにします。

ここまでに整理したキャリア形成におけるスモールステップに厳密な順番はありませんが、①から⑤へ進んでいくのがスムーズかもしれません。①から⑤を行った後に次のスモールステップに結びつき、徐々に大きな行動が可能な状態へと環境自体を変化させていくのです。

若いうちにするキャリアデザインにおいて重要なのは、夢や目標をしっかり考えていくこと以上に、今できることを設計し、リスクを抱えすぎず小さな行動をしていくことだと言えるでしょう。

古屋 星斗 リクルートワークス研究所 主任研究員

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ふるやしょうと / Shoto Furuya

2011年一橋大学大学院社会学研究科 総合社会科学専攻修了。同年、経済産業省に入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わる。

2017年より現職。労働市場分析、未来予測、若手育成、キャリア形成研究を専門とする。著書に「ゆるい職場-若者の不安の知られざる理由」(中央公論新社、2022)、「なぜ『若手を育てる』のは今、こんなに難しいのか」(日本経済新聞出版、2023)、「『働き手不足1100万人』の衝撃」(プレジデント社、2024)。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。

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