「ゆるい働き方」に不安を感じる若手社員の本心 時間に余裕ができたけれど、心には余裕がない

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まず労働時間を見てみると、大手企業の大卒以上の若手社員(入社1~3年目)の平均週労働時間は、2015年の45.3時間から2023年には42.9時間に減少し、週50時間以上働いている(=概ね月40時間以上の残業をしている)若手の割合は、2015年の27.2%から2023年の16.7%へ、4割減となっています。有給休暇取得率については、なんと2015年の45.3%から91.6%へ向上しています。

「時間の余白=心の余白」にリンクしていない

こうした職場環境の変化によって、若い社会人に「労働時間以外の自分の時間が生まれた」ことは明白です。それではその「時間の余白」が私たちの心に余裕を与えてくれているかというと、実はそうではないというのが私の考えです。「時間の余白」が、「心の余白」にリンクしていないのです。

次の図は、新入社員期のストレス実感についての、リクルートワークス研究所の調査結果です。

リクルートワークス研究所、2021大手企業新入社会人の就労状況定量調査」。インターネット調査にて、2021年11月15日~2021年11月22日実施(大和書房提供)

今よりもずっと個人の時間がなかった10年前に比べると、むしろ現代のほうが若手社会人の不安は増しているのです。

なぜ「時間の余白」が「心の余白」につながらないのかというと、「時間の余白」は経験の差を生むからだと私は考えます。時間の余白、つまり会社に拘束されない時間は、どう使おうと自由です。

早く帰宅して新しい知識を得るために勉強をしていてもいい、副業・兼業をしてもいい。いろんな人と会ってもいいし、推し活をしてもいい。もちろん、スマホでゲームをしていても、ボーっとしていてもOKです。

かつての多くの社会人は、企業で長時間働いていたために、経験の機会は平等に与えられていました。仕事に関する努力は労働時間の中だけですればよかった(言い換えれば、以前は「会社が育ててくれた」ということでもあります)のが、今の時代は、何をしてもよい自分の時間の中で努力しなければならなくなったということです。これによって、個人個人のあいだに経験の差が生まれてしまうのです。

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