起業したい会社員に「アイデア不要」と伝える理由 起業の正攻法は「すでに自分ができていること」

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Yさん自身は、便利グッズを考案することを楽しんでいましたので、これが趣味であればそのまま続けてもよかったと思います。しかしあくまで起業を目指していました。そこで私は、次のようにお伝えしました。「正直、向いているとは言えない発明よりも、むしろYさんにとって『すでにできていること』をビジネスにしたほうが早いです」。

実はYさんは会社で人事の専門家として活躍しており、同僚や後輩から仕事や人生に関する相談を多く受けていました。発明よりも、人のキャリアや適性についての相談に乗るほうが、彼女にとっては慣れ親しんだ活動なのです。

そこで私は、まずはメインのサービスとして人事のコンサルティングや代行を提案しました。発明はあくまでその延長線上に位置づける。例えば、人事部の研修に使えるゲームや、悩みを吸い上げるための制度の開発など、別で生かしたほうがいいと考えました。

Yさんは現在、中小企業専門の人事コンサルタントとして、また社内面談を担当するカウンセラーとして活動し、月に30〜50万円の売上を上げています。将来的には、社内面談のカウンセラー資格を開発し、スクールを経営することを計画しています。そして、そのスクールの教材として自身の発明品を活用することを夢見ているのです。

「メンター」に憧れてはいけない

「メンターを作れ」。これは、今やどの起業本にも書かれているアドバイスの一つです。メンターとは「指導者」や「助言者」という意味で、自分の成長をサポートしてくれる存在です。

起業において、メンターを持つのはいいことだと思います。なぜなら、起業には悩みや課題がつきものであり、それを相談できる相手は限られているからです。家族や身内に相談したり、弱音を吐いたりすると、心配されたり反対されたりする可能性が高い。

そうした状況を考えると、「自分が目指している道をすでに歩んで成功している人」がメンターなら理想的です。ただし、気をつけなければならない点が一つ。メンターが「あまりに遠すぎる存在」である場合、あまり参考になりません。

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