(第30回)工場のない生産こそアップル高収益の源

仮にこうした構造的理由があるのだとしたら、現在でも日本の製造業は世界に冠たる産業であり続けているだろう。しかし、現実には、日本の製造業は敗北につぐ敗北を強いられることになったのである。

実は、製造・組立工程という中間段階の利益率が最も高くなることこそが、問題であったのだ。中間段階の利益率が保証されるのは、自動車生産のように、部品相互の調和が重要な製品だからなのである。そして、05年頃には、異常な円安に支えられて、そのような産業の輸出競争力が異常に高まったからなのである。それは、結局は経済危機で崩壊するバブルに過ぎなかったのだが、04、05年当時には、そのことは認識しえなかったのだ。

日本でファブレス化したのは異端的企業

液晶テレビに関しては、わずか5年前に、シャープ亀山工場のパネル生産が絶賛された。これは、垂直統合生産の典型だ。しかし、結局は撤退せざるをえなくなった。そして、ソニーもパナソニックも赤字に悩んでいる。スマイルカーブの中間で利益を上げようとする日本企業は、ことごとく赤字と低利益から抜け出すことができない。

ところで、日本にもファブレス企業はある。典型例は任天堂だ。かつては日本国内の委託企業で製造組立を行っていたが、現在は中国にある鴻海精密工業で製造している。船井電機も、かつては国内生産を行っていたが、現在では、海外の子会社や委託企業で生産を行っている。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 財新
  • 今見るべきネット配信番組
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT