ふだんの「歩く」を関節痛対策に変える2つの方法 「痛くない、よく動く、長持ちする」関節を目指す
もしかすると、ひざに負担がかかり過ぎるのでは、と心配になるかもしれません。たしかに深くひざを曲げて体重を支える動きを繰り返すのは心配です。昔、学校の部活などでやっていた「ウサギ跳び」は間違いなくひざに悪い動きです。
けれども、腰下げ歩きはそれほど極端な角度にひざを曲げるわけではありません。また、体重にプラスした負荷をかけるわけでもありません。ですから痛みさえなければ、ひざの負担を気にする必要はありません。
大腿四頭筋のうちの1つ「内側広筋」は、太ももの前面にある筋肉の内側に付いている筋肉です。この内側広筋を太くすることができれば、内側広筋に守られたひざ関節の軟骨のすり減りが抑えられると考えられます。ひざの痛みが減り、人工関節になるリスクが減るでしょう。
内側広筋が太くなれば、ひざの痛みの減少効果、軟骨のすり減り防止効果、人工関節になるリスクの低下が期待できると示した研究もあります。
また、太ももの筋肉は股関節にも関連があります。太ももの筋力が落ちると、体を支える安定性も落ちて、股関節に負担がかかる可能性が高まります。その結果、股関節の軟骨のすり減りである「変形性股関節症」という病気を発症することがあります。
股関節と大腿四頭筋の関係は、ひざ関節ほどにはエビデンスが集まっていませんが、整形外科医の間では以前から重要視されています。つまり、腰下げ歩きは変形性股関節症の発症や悪化を抑えることも期待できるのです。
ひざの痛みを放置してはいけません。ひざの痛みと軟骨のすり減りがある人の死亡危険度は、そうでない人の1.97倍だという研究報告があります。
股関節やひざなど、下半身の関節は構造的に安定していて、めったに脱臼(関節が外れること)しません。けれども体重を支える必要があるので、ある程度は大きな力が必要になります。ですから下半身ではアウターマッスルが衰えないことが大事です。この腰下げ歩きは、下半身のアウターマッスルを鍛えることになります。
「ドローイン」という言葉があります。これは、スポーツトレーナーやリハビリの療法士などのプロが使っている言葉です。ドローインというのは、体幹(腰・おなかの周囲)のインナーマッスルを使って、姿勢を変えずにおなかをしぼませるような動きです。
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