日本人が忘れている「女性蔑視」本当の歴史

不適切発言への批判は過剰反応じゃない

さらにすごいのは、インタビューに答えている職業紹介所の責任者のコメント。「昔は職業婦人といへば皆醜かつたものです」。これは、職業紹介所にやってくる女性も読んでいるはずではないだろうか。

さらには「(雇い主が何を求めるかというと)才能の順でも健康の順でもなく、美人の順に売れてゆくことになりました。(中略)困ったことですが事實であつて見れば致し方ありません」。彼はリアリストなのか、それとも時代の代弁者なのかはわからない。しかし、就職の決まらなかった女性が、この記事を見てどう思ったのだろう、とは思う。

あまりに酷かった日本の過去(官公庁編)

これは一部の男性だけに見られた傾向なのだろうか。最後にもうひとつ紹介したい。これは、私の愛読している鬼才・パオロ・マッツァリーノ先生も新刊の『「昔はよかった」病』で紹介している記事だ。

それは、読売新聞1929年2月6日の朝刊にある「美人に限って文部省が採用」という苦笑しかできないタイトルの記事。官公庁も(ある意味、正直すぎる)女性差別的表現を使用していたのは驚きで、「お嫁の賣れ口もよく殊に美人と一緒に机を並べて働く事は男子側の能率を増進せしむる上に頗る効果があるといふ議論が一般に髙い所から今度新に左記の如き採用方針」を掲げるという。それが「一、頗る付の美人たる事」だそうだ……。

繰り返すものの、今回も解説はやめておこう。

こういった時代と比較すると、なんだかんだ言っても現代日本はよい方向に行っているように思う。これらが、息苦しいかもしれない現代の風潮を、筆者が肯定したい理由でもある。

最後に男性に問いたい。もし今回、筆者が引用した記事について笑ってしまった人がいるとすれば、だ。私たちは、「思っているけど言わなくなっただけ」なのだろうか。それとも「女性軽視など、考えもつかない、思いもしない」メンタリティを獲得したのだろうか。(*なお、文中ではできる限り旧字体を使用したが、一部、使用しなかったところがある)

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