「命に別条はない」の本当の意味、わかりますか? 意識はある?ない?ニュースでよく聞く言葉の裏側

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命に別状はないというのは、傷があったとしても急所を外れていたり、かすり傷だったりして、その後もまず容体は変わらないだろうという場合によく使われます。
一方の「意識はある」は、現場に駆けつけた救急隊員や警察官の問いかけに対して答えることができている状態と考えられます。つまり、ごくまれですが、搬送されたあとで容体が急変する可能性が残っているということです。(97ページより)

はっきりとした定義があるわけではないものの、著者が事件原稿を書く際には、こうした意識で使い分けをしていたという。それは周囲の記者もまた同じだったようだ。

「重傷」と「重体」との違い

一方、「重傷」と「重体」には明確な違いがあるそうで、このことについては具体的な事件が例示されている。少し長くなるが引用したい。

2002年7月、東京駅構内のコンビニ「サンディーヌエクスプレス東京センター店」で、痛ましい強盗殺人事件が発生しました。パンやおにぎりを万引した男が、追いかけてきた店長の男性(33)をペティナイフで刺して逃走したのです。
首都の玄関口である東京駅構内だったこともあって、事件は大きく報道されました。第一報は「刺された男性には意識があり、病院に運ばれたが重傷」というものでした。
大きなけがをしているが意識があれば重傷、意識不明の状態になっていたら重体と表記します。店長は腹部を刺されていましたが、深さは7cm程度で傷が深いというほどではなく、当初は受け答えもできていたことから、警察は重傷と発表していたのです。
ところが刺されてからも犯人を追ったために出血が多かったのでしょうか。その後亡くなってしまいました。わずか550円の万引のために尊い命が失われ、容疑者の男は無期懲役刑が確定しました。(98ページより)

著者も事件の第一報を聞いた当初は、「重傷ということなら、きっと助かるだろう」と思っていたようだ。そんなこともあり、数時間後に亡くなったと聞いたときには非常に驚いたと当時を振り返っている。

次ページでは、重傷と重傷の違いとは?
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