もちろん、価値観や基本政策が異なる複数の政党間で政界再編を起こすには、相当なエネルギーが要る。筆者は、政界再編のカギを握るのが湛山であると考えている。
2023年6月、湛山没後50年という節目の年に、自民党から立憲民主党の議員まで幅広く集う超党派議連「石橋湛山研究会」が発足した。
この1年数カ月、同会は多くの識者を講師に招き、国民に新たな枠組み・選択肢を示せるよう構想を練ってきた。メンバーには岩屋毅外務大臣、中谷元防衛大臣、村上誠一郎総務大臣ら石破内閣の重要閣僚がのきなみ参加している。そして、いつも最前列に座り、積極的に挙手をして質問していたのが首相になる前の石破氏であった。石破内閣は「石橋湛山議連内閣」とも言えるのだ。
石橋湛山議連を活用せよ
少数与党で、政権運営のためには野党の協力が欠かせない石破政権にとって、この議連を活用しない手はない。もともと超党派なのだから、党派を超えた連携ができるはずだ。自民党内に反乱分子を抱えている状況なら、なおさらである。
議連の幹事長である古川禎久元法務大臣は「自民党総裁選で党の看板を掛け替えたくらいではダメ。既存政党による政治は、もはや限界を露呈している」と、政界再編の糸口を探る。湛山は、与野党が連携する時の接着剤になりうる。
石破首相が政権発足直後に口にした「日米地位協定の改定」は政官界、マスコミが一斉に批判したことでトーンダウンしてしまったが、これぞ保守本流の湛山の目線といってよい。
戦後、首相となった湛山は「向米一辺倒にならず」という気概をみせた。戦後日本にとってアメリカは間違いなく重要な同盟国であるが、それでも首を垂れることなく、不条理なことには正面からもの申すべきであると主張し続けた。日本の領土に米軍ヘリが墜落しても、「日米地位協定の壁」によって日本の警察は事故現場にすら立ち入れない。この現実を変えようとすることが、そんなにおかしなことなのか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら