「教員はサービス業?」学校の先生達が抱える苦悩 学校の先生は何で勝負する?忘れられない疑問

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だから教員は歯を食いしばって頑張れ、などと言いたいわけではない。経済協力開発機構(OECD)が2013年に発表した国際教員指導環境調査(TALIS2013)の結果を分析した妹尾昌俊は、「過労死ラインを超えるくらいの長時間労働をしている教師は、部活動も、授業準備も、校務分掌や学年事務、添削も熱心にやっており、もっと時間があれば授業準備や自己研鑽をもっとしたいと思っている傾向が強い」ことが示唆されていると述べている(『「先生が忙しすぎる」をあきらめない――半径3mからの本気の学校改善』教育開発研究所、2017年)。

私がそうだったように、過労死ラインを超えて頑張っている教員は、行政の十分な支援がないため、残業することで、自分が「先生」になれる環境を無理やりつくろうとしているのではないだろうか。

教員の仕事をとらえ直す必要がある

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大人が子どもの心をつかみあぐねているこんな時代だからこそ、教員の仕事を、子どもの人としての成長を支援することとしてとらえ直す必要がある。

教員が「私たちの仕事を減らせ!」と労働者の権利を主張するのではなく、「私たちにちゃんと仕事をさせろ!」と「子どものプロ」としての義務と責任を追求した方が世論もついてくるだろう。

教員の現場裁量を保障すること、教員の数を増やして子ども一人ひとりと向き合う余裕を確保すること、自己研鑽するための休みを確保すること、生徒の成長と直接関係のない調査などの事務作業を外部委託もしくは撤廃すること、点数に依拠したPDCA(Plan, Do, Check, Action)サイクルを廃止すること……。

教員が教えに浸り、子どもの成長を促す環境づくりのために行政ができることはたくさんある。

鈴木 大裕 教育研究者

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すずきだいゆう / Daiyu Suzuki

1973年、神奈川県生まれ。教育研究者。16歳で渡米し、1997年コルゲート大学教育学部卒業、1999年スタンフォ―ド大学教育大学院修了。
帰国後、千葉市の公立中学校で英語教師として勤務。2008年に再渡米し、コロンビア大学教育大学院博士課程で学ぶ。2016年、高知県土佐町へ移住、2019年に町議会議員となり、教育を通した町おこしを目指しつつ、執筆や講演活動を行なっている。著書に『崩壊するアメリカの公教育 日本への警告』(岩波書店)など。

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