あのヨーグレットが気づけば「グミ化」一体なぜ 多くの大人が「懐かしい!」長年の課題を攻略へ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

グミの特性に合わせ、初の味展開も

一方で、グミの味にもこだわった。目指したのはタブレットに近い、適度な酸味のある風味の再現だ。それに加えてヨーグレットについては、バリエーションも用意した。

「グミの市場は非常に多様性があり、そこから選ぶ楽しさが最大の魅力です。だから、数多くの味展開をしているブランドのほうが、棚で存在感を発揮しやすいと判断しました」と山下社長は説明する。

新たな味として生まれたのは、ヨーグルトとフルーツを組み合わせる「フルーツヨーグルト」をイメージした「fruit(フリュイ)」シリーズ。「いちごヨーグルト味」と「洋梨ヨーグルト味」だ。ヨーグレットでフルーツ味の展開をしたことはこれまでなく、ブランド初の挑戦となる。

こちらも食べてみたところ、いちごはジャムのような甘酸っぱさが際立ち、洋梨は、フルーティな甘みとヨーグルト風味がまろやかにマッチしている。そして、どちらも果実の香りの存在感が大きい。グミならではの新しいおいしさを実現していた。

 

アトリオン製菓 ヨーグレットグミ
フランス語で「果実」を意味する「Fruit」シリーズ(写真:アトリオン製菓提供)

こうして、満を持して発売となったヨーグレットグミ。幸いにも、スーパーや小売店は、「棚での存在感を発揮したい」という意図を理解し、3種類すべてを採用してくれるところも少なくないそうだ。

アトリオン製菓 ヨーグレットグミ
3種類のグミを並べて置くと、棚で大きな存在感を放つ(写真:アトリオン製菓提供)

複数展開の手応えを感じているものの、まだ発売から1カ月で、予断を許さない状況だ。

「マーケティング分析によると、グミは、同じブランド内で違う味を回遊したり、複数種類をまとめ買いする消費者が多いことがわかっています。これから伸びるのではないでしょうか」と、高宮さんは明るい予想をしている。

最後に、ハイレモンのグミについては、レモン特有の酸味がきちんと感じられるように商品設計され、無事に発売された。しかし、諸般の事情で現在休売になっているそうだ。消費者の声があれば復活を考えたいとのことで、今後の動向に注目したい。

後編では「明治→丸紅」M&Aの裏側をお届け

続く後編では、丸紅によるM&Aからはじまった、激動の1年に迫る。創業から79年の歴史で育んだ製造技術を守りながら、販路開拓から新製品開発まで、すべてを再構築しなければならなくなった250人の社員たち。彼らは、どのようにして新たな挑戦に立ち向かっているのか。老舗製菓会社の変革の現場から、その軌跡を追う。

続きを読む:ヨーグレットの製菓会社「明治から独立」での変化 丸紅グループにとって菓子製造進出の第1号案件

アトリオン製菓 旧明治産業
1951年、1945年の創業から6年後のアトリオン製菓(旧明治産業)(写真:アトリオン製菓提供)
笹間 聖子 フリーライター・編集者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルはホテルビジネス、幼児教育、企業ストーリー。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界専門誌で16年間執筆を続けており、ホテルと経営者の取材経験多数。「週刊ホテルレストラン」「ダイヤモンド・チェーンストアオンライン」「FQ Kids」などで執筆。企業のnote発信サポーター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事