「本心」描く"故人を蘇らせるAI"は実現可能なのか 母親が蘇って、知らなかった側面が明らかに
――そういう中でこの映画がつくられたというのも、タイミングのよさを感じさせます。
そう、まさに今観るべき映画なのです。ここに出てくる技術も、1年後は大丈夫かもしれないですが、おそらく2年後になったら古くなってしまうのではないでしょうか。
テクノロジーのほうが先に行く可能性は十分あります。映画ではゴーグルをつかっていますが、この技術も一過性だと思います。すでに複数の会社が脳にチップを直接埋めて情報を送受信する技術の開発に着手しています。
AIの利用制限求めたストライキも
――昨年もハリウッドで、AIの利用制限を求めて俳優のストライキがありました。AIを使えば、年をとった俳優を若くしたり、亡くなった俳優をふたたびスクリーンに映し出すことも可能となるわけですが、そうした現状はどう思われていますか?
まず人間の側に、良い思い出を残したい、亡くなった大切な人に会いたい、若がえりたいといったような欲求があるのではないでしょうか。これは技術の有無にかかわらず、かなり根源的な欲求だと思います。
それに対して新しい技術が登場してくると、当初人間社会はその技術をどう受け入れるか動揺する。たとえば最初にカメラが出てきたときも、最初は魂を抜かれると思っていたわけですし。しかしだんだんに折り合いをつけて、今は写真を撮るのは当たり前になっています。人間がやりたいことは止められないと思います。
――やはり欲望は止められないから、むしろどう制御するのかということでしょうか。
人間はひとりで生きている生き物ではなく、社会性のある生き物なので、どこかに線引きが必要になる。たとえば不特定多数がいる所で写真を撮って、勝手にネットにアップするのはどうか……という話もありますよね。そこはみんなで話し合って、ルールを決めていく必要があります。
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