「本心」描く"故人を蘇らせるAI"は実現可能なのか 母親が蘇って、知らなかった側面が明らかに

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――そういう中でこの映画がつくられたというのも、タイミングのよさを感じさせます。

そう、まさに今観るべき映画なのです。ここに出てくる技術も、1年後は大丈夫かもしれないですが、おそらく2年後になったら古くなってしまうのではないでしょうか。

テクノロジーのほうが先に行く可能性は十分あります。映画ではゴーグルをつかっていますが、この技術も一過性だと思います。すでに複数の会社が脳にチップを直接埋めて情報を送受信する技術の開発に着手しています。

AIの利用制限求めたストライキも

――昨年もハリウッドで、AIの利用制限を求めて俳優のストライキがありました。AIを使えば、年をとった俳優を若くしたり、亡くなった俳優をふたたびスクリーンに映し出すことも可能となるわけですが、そうした現状はどう思われていますか?

まず人間の側に、良い思い出を残したい、亡くなった大切な人に会いたい、若がえりたいといったような欲求があるのではないでしょうか。これは技術の有無にかかわらず、かなり根源的な欲求だと思います。

それに対して新しい技術が登場してくると、当初人間社会はその技術をどう受け入れるか動揺する。たとえば最初にカメラが出てきたときも、最初は魂を抜かれると思っていたわけですし。しかしだんだんに折り合いをつけて、今は写真を撮るのは当たり前になっています。人間がやりたいことは止められないと思います。

本心
清田 純(せいた じゅん)/1996年に筑波大学医学専門学群を卒業し心臓血管外科の研修医を経て、幹細胞生物学を研究し東京大学で 博士(医学)を取得。2006年から2016年までスタンフォード大学で1細胞生物学、システム生物学、データ駆動科 学、機械学習を研究。研究テーマは、AIと生物学、医学、さらにその先の分野に及ぶ。他に筑波大学教授、株式会社アバターイン・アドバイザー等。日本ディープラーニング協会有識者会員(写真:配給提供)。

――やはり欲望は止められないから、むしろどう制御するのかということでしょうか。

人間はひとりで生きている生き物ではなく、社会性のある生き物なので、どこかに線引きが必要になる。たとえば不特定多数がいる所で写真を撮って、勝手にネットにアップするのはどうか……という話もありますよね。そこはみんなで話し合って、ルールを決めていく必要があります。

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