「本心」描く"故人を蘇らせるAI"は実現可能なのか 母親が蘇って、知らなかった側面が明らかに
“自由死”を望んだ母の“本心”を知りたいと思った青年は、生前の母のパーソナルデータをAIに集約させ、仮想空間上に“人間”をつくる、VF(ヴァーチャル・フィギュア)という技術を使って、母を蘇らせることを決意する。完成した母との日々の暮らしで、彼はたわいもない日常を取り戻していくが、VFは徐々に“知らない母の一面”をさらけ出していく――。
平野啓一郎の同名小説を、石井裕也監督、池松壮亮主演で映画化した「本心」(TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開中)は、技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写するヒューマンミステリーだ。共演には、田中裕子、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡ら豪華キャストが勢ぞろいしている。
そこで今回は、本作のAI監修を務めた理化学研究所の清田純氏に、本作が描き出すAI技術のリアリティー、そしてその実現可能性などについて聞いた。
ChatGPTが誕生する前に予言していたこと
――この映画でAIの監修を務められたわけですが、主にどのようなところを監修されたのでしょうか?
本作に関しては、台本が出てきた時点で、専門家から何か言うことはほぼないくらいの完成度でした。まず、この原作が、ChatGPTが登場する前の2019年から2020年に書かれたというのがすごいこと。ほとんど当たっていますからね。
だから僕が実際関わった部分としては、例えば、VR、AR、MRの技術的な違いを整理してその違いを共通認識にするなど、技術的な情報の整理を行ったということです。
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