108歳女性がずっと大切にしてきた「3つの心がけ」 誰とも争わなかったから平和な暮らしがある

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だから、言って聞かせるのもそれなりの覚悟がいりましたけれど、「ひるまず・うらやましがらず・あらそわず」は、107歳の今でもわたしが日頃から心がけていることです。老年の域に入っている娘も息子も、その言葉どおりに生きてくれていると思っています。

いい加減にならないこと、機嫌良くしていること

「いつお迎えが来てもいい」なんてお年寄りがよく言いますね……って、わたしもけっこうな年寄りですけれど(笑)。

『108歳の現役理容師おばあちゃん ごきげん暮らしの知恵袋』書影
『108歳の現役理容師おばあちゃん ごきげん暮らしの知恵袋』(宝島社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

たしかにそう思います。本心です。でもね、死ぬこととか寿命についてとか、あまり考えなくていいんじゃないかと思います。「死ぬ」「生きる」は神さま仏さまがお決めになることでね、こちらがいろいろ考えたところで、そのとおりになるものでもないので。ですから、「おまかせ」の心境ですね。

2023年に「世界最高齢の現役理容師」に認定されて、109歳までハサミを握りたいという目標ができましたから、なるべくならお迎えが来ないように、今はそのためにできることをやっています。

自分のことは自分でやる。

日々の暮らしの中で、これが一番のモットーです。

人に何かをして差し上げるのは、もう難しいですから、まずは自分自身を整えて、人さまにご迷惑をかけないようにしなくてはなりません。

しっかり食べて、歩いて、体操をして、よく眠れるようにしておく。

当たり前のことですけれど、一つ一つをきちんとやることが大事。ていねいに、いい加減にならないように。

シツイさんの地元に住むファン(!?)からもらったお気に入りの湯呑み。お茶の時間はささやかな楽しみの時間。108歳、青春はまだまだ続く(撮影:栗栖誠紀)

それから、いつも機嫌良くしていたいと思っています。

家族ばかりでなく、わたしを心配してくださる親戚やご近所の方、ケアマネージャーさんやたくさんの方にお世話になって暮らしています。その方々とも楽しく仲良くしたいですから、まずはわたしがいつも機嫌良くして、笑顔で「ありがとうございます」「おかげさまで」が言えるようにしていたいのです。

こちらが笑えば、みなさんも笑顔で返してくださいますよ。

そんなたんたんとした行いと心持ちで過ごす毎日の先に、わたしだけでなく、誰しもおだやかな旅立ちがあったら。そのように、いつも静かな心境で考えています。

箱石 シツイ 理容師

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はこいし しつい / Shitsui Hakoishi

1916年(大正5年)生まれの108歳。理容師生活94年。世界最高齢の現役理容師に認定される。12歳で奉公に出て、14歳で上京。理髪店で働きながら理容師資格を取得。22歳で結婚し、東京・下落合に理髪店を開業。2児をもうけるも長女は脳性麻痺に。1944年、夫が軍隊に召集され戦死。実家に疎開の相談に行った夜に空襲で理髪店は焼失。その後、故郷の栃木県那須郡那珂川町に戻り「理容ハコイシ」を開業、70年以上営業を続けている。102歳までひとり暮らしで身の回りのことはすべて自分でこなした。常連のお客さんが来れば今でも店に出る。2021年の東京五輪では息子と二人三脚で聖火ランナーを務めた。

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