新体制を迎える北朝鮮、経済開放の現実味
後継者は開放志向 指導部の運営力が低下
後継体制がどう進むかは、今後の状況次第。「権力不安定」「暴発も」「北朝鮮崩壊」といった海外メディアの予想も少なくはないが、父の死を利用してこれまでの方針を転換する兆しも見える。特に経済面で、だ。
「正恩や(国防委員会副委員長の)張成沢氏など側近が考えているのは開放政策だ」と韓国政府関係者は断言する。朝鮮労働党幹部も「(正恩氏は)中国の経済状況もよく知っており、開放的な政策をやりたいはず」と言う。
北朝鮮指導部も社会主義的な要素に固執した、中央集権的な政策実施はすでに無理だと悟っているようだ。そのきっかけとなったのは、09年11月に突如として発表された「デノミネーション」施行である。
インフレ対策の一環として、旧通貨から新通貨への交換金額を制限して国民の資産を国家が吸収、貧富の格差を解消するのが狙いだった。
ところが、デノミは大混乱と国民の強い反発を招き、わずか数カ月で事実上の撤回を強いられた。独裁体制にもかかわらず、たとえ平壌市民など国民の一部ではあっても、そのやり方に「物申す」ことも辞さない階層が着実に増えているのだ。デノミの失敗も「北朝鮮指導部が中間層を管理できず、統治方法の転換の必要性を痛感した事件」(韓国の情報当局関係者)といえよう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら