新体制を迎える北朝鮮、経済開放の現実味

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韓国政府は、金総書記の服喪期間を100日程度と見ているようだ。となると、金日成主席の誕生日である4月15日の「太陽節」ごろが、一つの節目になりうる。それまでにある程度体制固めをして、「強盛大国の大門を開く」としていた経済強化の年に臨むという計画が垣間見られる。

新体制を正恩氏の“後見人”でもある張成沢氏と、金総書記の妹である金敬姫氏の夫婦がサポートする可能性もある。金敬姫氏は、「金王朝」の唯一の血縁者。時には、彼女のカリスマを体制強化に利用することがあるかもしれない。

父の遺訓となった「経済改善」と「核大国」という、相反する目標を引き継いだ正恩氏。万全の体制は用意されているものの、正恩氏の前に立ちはだかる壁は厚い。

(週刊東洋経済2012年1月7日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 写真:Myouzke CC BY-SA

 

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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