どんなに働いても「なぜか生きづらい」その真因 現代人を生きづらくさせる「スモール・トラウマ」
女医であるアニタは、仕事のストレスや体調不良だけでなく、職場の官僚主義から生じるスモール・トラウマにも悩まされていました。これらのことは、天職やキャリアであったはずのものを、満足を得られない仕事に変えてしまいます。私は多くの専門職でそれを見てきました。学究の世界、ジャーナリズム、法曹界、工学の世界、その他ありとあらゆる専門職においてです。
魂を破壊するようなこの変容は、仕事由来のスモール・トラウマの急激な増加を招いています。従来、それは「やりたくない仕事」にしか見られなかったのですが……。現在、多くの仕事はベルトコンベヤー式にこなされています。弁護士はずっとメモをとりつづけ、教師は書類の山を片づけ、看護師はクビにならないために作業を次々にこなしています。その例は他にもいくらでもありますが、私が言いたいことはもうおわかりいただけたでしょう。
仕事に満足しているように見える人も……
では、幸運にも仕事に満足している人々についてはどうでしょうか? 彼らは楽々と人生を送っているのでしょうか? そうでもなさそうです。キャリアには、さらなる研修、昇進、ステイタスや社会的地位の向上、そして通常、より多くの報酬がつきものです。
その滑りやすい階段をのぼる過程では、スモール・トラウマに対する特別な反応が生じやすいのです。インポスター症候群(仕事で成功しているのに自分を過小評価してしまう心理状態)、終わりのない業績評価、 激しい競争、明確な序列といった嵐に休みなく襲われると、人は能力不足を感じ、いつかそれがばれるのではないかという不安に苛まれます。
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