どんなに働いても「なぜか生きづらい」その真因 現代人を生きづらくさせる「スモール・トラウマ」

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(写真:Peak River/PIXTA)
人間関係の些細なすれ違い、職場での小さなトラブル、子供の頃や学生時代の苦い思い出……「えっ、そんなことで?」と思うような出来事が、実はあなたの人生に重大な影響を与えているかもしれません。イギリスの心理学者メグ・アロールの著書『なぜか「なんとなく生きづらい」の正体』(野中香方子訳)は、近年、心理学や臨床心理の領域で注目され始めた“小さな心の傷”=「スモール・トラウマ」とその対処法に光を当て、世界40カ国以上で刊行される超話題書となっています。同書より、競争が激化する現代社会ならではの「スモール・トラウマ」を引き起こす原因を、一部抜粋・編集のうえご紹介します。

仕事に由来するスモール・トラウマ

あなたの仕事は、単なる「ジョブ」ですか。それとも「キャリア」でしょうか。あるいは「天職」でしょうか。

もしあなたが、仕事を生活に必要なお金を稼ぐための手段「ジョブ」としか見ていないのであれば、それを大切な「キャリア」や「天職」と見なしている人たちほど幸福ではないでしょう。もし「ジョブ」をしているのであれば、あなたは朝の9時から夕方の5時までの大半を、ビーチで貝殻のネックレスを売ることや、ベストセラーを書くこと、宝くじをあてて働かなくてよくなることを夢想して過ごすかもしれません。そうだとしたら、仕事に由来するスモール・トラウマが、毎日少しずつあなたに傷を刻んでいるでしょう。

誰しも仕事をして、安全な住まいを確保しなければなりません。それは仕事が「ジョブ」でも「キャリア」でも「天職」でも同じです。しかし、「キャリア」は自分が選んだ仕事で、自分の目標や野心を追求できるものですが、日々の支払いをするための「ジョブ」でそうすることは難しいでしょう。

一方、「天職」は、自分の核になっている信条とアイデンティティが仕事の内容と一致するものです。そして伝統的に私たちは、天職には医師や聖職者、困っている人を助ける専門職が該当すると考えてきました。けれども今では、残念ながらこれらの職業にも現代生活につきものの退屈な骨折り仕事がともなうようになっています。その証拠に、ある女医は慢性の不安に悩まされています。

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