仕事でうまくいきたいなら「類人猿」から学べ ゴリラ上司とボノボ部下が分かり合うには
岡崎(和):類人猿なんて何も知らない状態で来ても、帰りにはちょっとした専門家になれる。それくらい簡単で、使える、笑える……という感じで。「目からウロコだった」と、よく感想をいただきます。
岡崎(真):「他人は自分と違う」ということは皆さん分かっていても、「どう違うのか」ということまでは分からない。誰しも他人の発言に腹が立つことはあると思いますが、それは「自分だったらそんな言い方しないのに!」と思うから。つまり「自分と違う」と分かっているのに、それを前提に置いた対応をできていないのですね。
そこでセミナーでは、まず自分がゴリラ、ボノボ、オランウータン、チンパンジーの4つのうち、どのタイプに当てはまるかを調べます。すると大体4分の1ずつになるので、自分の感覚を持っている人が“少数派”であることに気がつくんです。それだけでも大きな財産で、人に対して無性にイライラすることが少なくなります。
その後ざっくりした理論の説明をして、4つの類人猿グループで「同じ課題」について考えてもらいます。するとグループ内では「こんなに同じことを考えている人がいるんだ」と気づきますし、一方でほかのグループの発表を聞くと「他人って本当にこんなに違うんだ」と、腑に落ちます。
「秩序」のゴリラ、「共感」のボノボ
――今おっしゃった「課題」は、たとえばどんなものなのでしょう?
岡崎(真):分かりやすい例で言うと、こんなものがあります。
岡崎(和):こういう課題を何回やっても、どの地域でやっても、どんな年代の人同士でやっても、ゴリラはゴリラ、ボノボはボノボで、8~9割同じような答えが返ってくるんです。面白いですよ。
――ちなみにこの課題の場合だと、4タイプでどんな答えに?
岡崎(真):まず「秩序」を重んじるゴリラの人は、議論してくださいと水を向けても、話し出さない。で、お互いに顔を見ながら、「この人いちばん年上そうだな……」、というのを確かめて、年長者は「俺が話し始めないとはじまらないな……」と決心して、やっとしゃべり出します。そしてその隣の人は、「次は僕だな……」と思って、話すことを準備しています。そして誰も、他人の発言をさえぎりません。
それで話し合った結果どんな結論を出すかというと、「やらない」。「だって、7割も反対する人がいるんだもの」というのが理由です。
一方のボノボさん。何よりも「共感」を大事にするのが特徴です。話を聞いていると、「反対している人をちょっとずつこっちに引き込もう」とか、いろいろな意見が出ます。でも、最終の結論を聞くと、「やりたいということは主張するが、やらない」。
ボノボの場合、「私はやりたいと思っている」という気持ちを第一優先に話が進んで、本当にやるかどうかという議論からズレていく傾向があります。やりたいという気持ちを分かってもらうのが最重要なのです。
岡崎(和):だからこのタイプの部下を持った上司は、「君がこのプロジェクトにかけていた思いをすごくよく知っている。でも、今回だけはちょっと引いてくれ」と、ひとこと言ってあげるだけで、むしろ次の仕事に向かうモチベーションを高められます。
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