自公政権でも新政権でも年末決着を要する「税制」 岸田政権が残した宿題「扶養控除と防衛増税」

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防衛増税の対象となる税目は、法人税、所得税、たばこ税である。これらを対象とすることは、「令和6年度税制改正大綱」、そしてその1年前に閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」にも明記されている。

「令和6年度税制改正大綱」を受けて、防衛増税を適当な時期から実施する旨が令和6年度税制改正法の附則に記され、すでに可決成立している。

ここで、防衛「増税」というが、所得税は直ちに「増税」するわけではないことを正しておこう。厳密に言えば、使途変更というべきである。

今すでに、復興特別所得税が所得税に上乗せされる形で課されている。その税率は2.1%である。そのうち、1%分を防衛力強化のために充てる(残る1.1%は引き続き東日本大震災の復興財源となる)ことにするという話なのである。

トータルで2.1%の税率であることには何ら変わらない。だから、所得税はすぐには負担増にはならないのである。

復興債を返済するための課税が長引く

ただし、2038年以降は増税となる。復興特別所得税は2037年まで課税して、東日本大震災の復興のために発行した復興債という国債を返済することとなっており、2038年以降は課税する予定はない。

そこで、この「使途変更」により、復興債を返済する財源が目減りし、2037年までに復興債を完済できなくなると見込まれる。そのため、復興債の返済が終わるまでは、この税を取り続けないといけなくなるから、当初予定のなかった2038年以降にも課税されるという意味で、「増税」となる。しかし、2020年代後半から「増税」となるわけではない。

さて、防衛増税の施行時期についてだが、2022年末段階では、その方針が閣議決定されているだけで、法律の根拠はなかった。しかし、今や法律の附則に明記されたのだから、何も決めないで放置することはできない。これも、総選挙直後から議論が不可避となる案件といえる。

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