そこで、岸田内閣期に決めた前述の児童手当の拡充によって、所得制限を撤廃した上で18歳まで支給することになった。15歳以下までの制度と平仄(ひょうそく)を合わせると、所得制限をなくして手当を支給しているわけだから、所得税制における控除をやめるという対応になる。
ただ、16~18歳の扶養控除を全廃すると、ごく一部の高所得層で、それに伴う所得税の増税額が、児童手当の拡充によって受ける支給額より多くなってしまう(それでも、大半の所得層では給付増が上回る)。
それを踏まえて、「令和6年度税制改正大綱」は、16~18歳の扶養控除について、所得税では現在の38万円から25万円に、住民税では現在の33万円から12万円にして、増税になる子育て世帯がないようにする案が盛り込まれた。
2024年末までに結論を得なければならない理由
しかし、岸田内閣下では2023年内に決めきれなかったため、「令和6年度税制改正大綱」では、この案を詳細に明記するとともに、「令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について扶養控除の見直しと合わせて結論を得る」とした。
2026年分の所得税からの適用を目指そうとすると、2024年末までに結論を得ないと間に合わない。なぜなら、2026年1月1日時点で、その裏付けとなる所得税法の改正が済んでいないといけないからである。
2026年の元旦までに法改正ができていればよいなら、何も2024年末までに結論を得なくてもよいようにみえる。
しかし、自公政権での税制改正論議は、春や夏には行われず、秋から年末にかけてしか行わないのが慣例である。2025年末までに扶養控除の見直しについて結論が得られたとしても、法改正ができるのは2026年の通常国会で、それだと2026年元旦には間に合わない。だから、この議論は、事実上2024年末までに済ませないといけない。
岸田内閣は終わったが、岸田内閣が残した宿題が総選挙後に待っている。
もう1つは、防衛増税である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら