福岡の私立高校「謎ルール」即廃止した校長の真意 「赤信号みんなで渡れば怖くない」が今も残る

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

僕は校長就任から現在まで、ハードランディングを軸にして学校改革を進めてきました。

当初、よく教頭からこう言われていました。

「校長先生、強引にやられたらみんなが納得しないですよ」

こちらとしては、「みんなが納得」の「〝みんな〞は誰ですか?」という感覚です。

グローバル学園構想を打ち出して、「柳川高校は海外のさまざまな国から留学生が集まる学校になります」「そのために海外に中学校をつくります。海外に事務所を開設していきます」と声を大にしました。

最初は教職員の多くがキョトンとしていました。

もしこれをソフトランディングで進めていこうとしていたら、1年経っても2年経ってもグローバル学園構想を打ち出すことはできなかったと思います。

なぜなら、誰も経験していないことを始めようとしていたからです。

構想を打ち出した僕も経験していないし、教職員ももちろん経験していない。誰も経験していないことについて、あれこれ意見を交わし、有識者を呼んでアドバイスをもらい、全員が納得するまで議論を重ねていくのは、時間がもったいない。

学校改革はある種、ベンチャー事業の立ち上げに似ています。

動きながら考える。動きながら改善する。動きながら次につなげていく。そんな速いサイクルがあってこそ、改革が必要な危機的な状況を変化させることができるのです。

そこでキーワードとなるのは、「覚悟」と「突破力」。

組織にまだ突破力が備わっていないタイミングでは、リーダーが覚悟を決めて先頭に立ち、全体を引っ張っていく必要があります。

ハードランディングで改革を進め、組織全体に新たな経験を積んでいってもらう。誤解や不安が生じることもあるでしょう。そういったデメリットは織り込み済みで、あえて「俺は柳川高校のルフィになる!」と全校生徒の前で宣言してしまうわけです。

「はあ?」という顔をしている教職員がいたとして、その瞬間、その場で理解してもらおうとはしません。こうすると決めて、走って、巻き込んで、経験してもらいながら「こういう変化が必要なんだ」と感じ取ってもらえればいいのです。

自分のモノサシを変えたい人へ

学校を楽しくすれば日本が変わる ーー「常識」をひっくり返した「絶校長」の教育改革 (単行本)
『学校を楽しくすれば日本が変わる 「常識」をひっくり返した「絶校長」の教育改革』(祥伝社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

リーダーの役目は、旗を振ること。リーダーシップとは、理想を語り、向かうべき方向を示すこと。そして、自分を変える、組織を変えるとき、欠かせないのが突破力です。

人は言葉でだけならどれだけでも理想は語れますが、大切なのはそれを形にできるか。どんな業界に身を置いていても、変革者は必ず突破力を持っています。

あなたにはリーダーとして、フォロワーとして、状況を突破していく底力がありますか?

古賀 賢 柳商学園 柳川高等学校 理事長・校長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

こが けん / Ken Koga

学校法人柳商学園 柳川高等学校 理事長・校長。1968年8月4日福岡県柳川市出身。英国国立ロンドン大学を卒業後、95年4月に柳川高等学校 国際科科長、98年4月同校副理事長を経て、2002年に同校理事長に就任し、09年からは同校校長を兼任。テニスは中学時代に日本一に輝く腕前。「絶校長先生」として行なってきた施策――「生徒自身による校則改定」により生徒の自主性を高め、「グローバル学園構想」「スマート学園構想」「宇宙修学旅行」という3本の柱を推し進めた結果、少子化時代にもかわらず、生徒数増を実現。福岡のテレビ局や新聞で、数多く取り上げられている。本書は初めての著書。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事