北朝鮮軍「ウクライナ派兵」情報・真偽の見極め方 「可能性高まるが派兵しない可能性も」専門家指摘

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北朝鮮から聞こえてくる情報を総合してみると、いくら110万人規模という、周辺国からすれば大人数の兵士がいたとしても、「実際に海外へ派遣できるのか」という声が強い。

というのも、北朝鮮兵士の多くが、労働者として国内の経済建設など、非軍事分野に駆り出されているのが現状だからだ。

軍を経済分野の労働者として派遣するということは、北朝鮮では従来から行われてきたことだ。これまでもあらゆる住宅や工場建設といった経済プロジェクトの現場では兵士たちが働いている。

「北朝鮮に頼むときはロシアが負けるとき」

2024年に入ってはとくに、金総書記が地方経済の成長を掲げ「地方発展20×10」という政策を実施している。これは地方での工場建設拡充を目指すもので、さらなる兵士たちが駆り出されている。

さらに現在は農業での収穫時期に当たり、これにも軍隊が駆り出されて最大限の穀物生産を図ろうと懸命の状況だ。

軍事大国のロシアが、そこまで北朝鮮人民軍を必要としているのかについては、ランコフ教授も需要と供給の関係からその可能性を指摘している。一方で、「ロシアが大量の弾薬や兵士を送ってほしいと言ってくるなら、それはロシアがウクライナに負けるときではないか」という声も聞こえている。

仮に北朝鮮軍が大規模に派兵されて実戦経験を積めば、それは戦力の増大につながりうる。東アジアの安全保障にも少なからず影響を与えるものとなる。

石破茂首相は日朝関係の改善も掲げている。ウクライナや韓国から流れる情報に左右されない総合的な情報分析力を持って、これら情報を読み解くことが重要だ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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