オードリー・タン氏実践「睡眠記憶法」の超合理性 睡眠の効能を最大限活用する徹底した工夫

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また、正しい時間帯に睡眠をとることも重要だ。石井は、記憶を増強するには夜10時に就寝し、朝5時半に起きるのが最適だとしている。彼が提唱する「サンドイッチ記憶法」は、寝る前の90分間に本を読み、夜10時に就寝、起きた直後の90分間で前日に暗記したことを復習する、という3つのステップを踏む。

読みながら判断を下さないことが重要

オードリーの睡眠記憶法でカギとなるのは、眠る前にどれだけ正確に読めるかだ。彼女の場合、眠る前には知識系の文書、たとえば明日の会議の議題に関する資料や研究論文などを大量に、高速で読む。小説や詩集のようなものは、睡眠記憶法で消化したり記憶したりする必要はない。

それらはゆっくり味わうほうがいい。特に、長い詩歌など声に出して読みたくなるようなものは、じっくりと噛みしめるように読むべきで、大量に高速で読む方式には向いていない。音の一つひとつに込められたさまざまな意味を、すみずみまで味わい尽くしたいからだ。

では、知識系の本が睡眠記憶法に適しているのはなぜか? ここでの知識系の本とは、論文・ストーリー性のない読み物・教科書・歴史書など、事実を整然と描写したり記録したりするためのものを指す。こうした文章に使われる言葉は特定の意味しか持たず、読者は行間からさまざまな意図を汲み取る必要はないため、高速で読み込むのに適している。

眠る前に読んだものをすべて頭のなかに取り込むには、非常に重要な前提が一つある。それは、知識系の本を読むときには気を散らすことなく、最初から最後まで集中して読むことだ。読みながら内容について判断したり、頭のなかで自分の観点を整理したりしてはいけない。だが実際には、そんな読み方をするのは決して簡単ではない。

「『判断を下さない』ことが一番難しいです。つねに立ち止まって考えながら読んでいたら、ほとんどページが進まず、睡眠中に学べる可能性は限りなく低いでしょう」

睡眠記憶法の成功には、流れを止めずに一気に読むことが条件となる。だが、このような読み方をするには訓練が必要だ。なぜ流れを止めてはいけないのか? 読みながら判断してはいけない理由とは何か?

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