オードリー・タン氏実践「睡眠記憶法」の超合理性 睡眠の効能を最大限活用する徹底した工夫

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

目覚めている間の私たちは、特定のやり方やいつもの行動に固執し、自分なりの観点で物事を見てしまいがちだ。しかし、夢のなかでは自我が比較的弱いため、一つの物事を多角的に見ることができる。

批判せずに読むためのトレーニング法

とはいえ、批判せず集中して読み続けるには訓練が必要だ。では、どう訓練すればいいのか? オードリーが提案する練習方法は、日中ほかの人と会話しているときに、相手の話を頭のなかで止めないよう努めることだ。

オードリー・タン 私はこう思考する
『オードリー・タン 私はこう思考する』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

たとえば、誰かの話を聞いているときには心を完全に開放して聞く。100パーセントの意識を相手に向け、相手が話す内容を先回りして推測しない。最初は自分を制御するのが難しいかもしれない。ならば、まずは一定の時間を設定してみる。

10分間は話を邪魔しないことを相手に約束し、10分が過ぎたら聞いた内容を簡単にまとめて伝える。その間、相手にも話を邪魔しないようお願いする。伝え終わったら、自分のまとめが正しいかどうか相手に尋ねる。いわゆる「積極的傾聴法(アクティブリスニング)」と呼ばれるもので、訓練を通じて習得することができる。

オードリーは最長で1時間、判断を下さず話を聞き続けられるという。これも訓練のたまものだ。「私は超人ではないので、間に休憩したり、飲み物を飲んだりすることも必要です。集中して聞くことにも肉体的には限界があります」。

相手の話す一字一句に共感する必要はない。まず相手の話を最後まで聞き、思考をすべて明らかにしてもらう。聞き終えたら、相手とは経験を共有したことになり、そこから対話を始めることができる。

もし、先に相手を批判したり、特定の言葉を聞いたとたん地雷を踏まれたかのように反論を始めたりすれば、相手からもたらされる情報が自分の養分になることはない。

「ストップウォッチで測ってみるといいでしょう。自分と意見の異なる人と話すことにどれだけ長く耐えられるか。2〜3分しか耐えられなかったら、その結果を睡眠前の読書に生かすのです。3分間は筆者を批判せずに読み、そのまま眠り、長期記憶へと変換させます」

オードリー・タン 元台湾デジタル担当政務委員

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Audrey Tang

元台湾デジタル担当政務委員(閣僚)。台湾初のデジタル大臣、台湾の無任所大使である。1981年、台湾台北市生まれ。幼少時から独学でプログラミングを学習。14歳で中学校を自主退学、プログラマーとしてスタートアップ企業数社を設立。19歳のとき、シリコンバレーでソフトウエア会社を起業する。2005年、プログラミング言語Perl6開発への貢献で世界から注目を浴びる。トランスジェンダーであることを公表。2014年、米アップルでデジタル顧問に就任、Siriなどの人工知能プロジェクトに加わる。その後、ビジネスの世界から引退。蔡英文政権において、35歳の史上最年少で行政院(内閣)に入閣、デジタル政務委員に登用され、部門を超えて行政や政治のデジタル化を主導する役割を担った。2019年、アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』のグローバル思想家100人に選出。台湾の新型コロナウイルス対応では、マスク在庫管理システムを構築、感染拡大防止に大きく寄与した。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事